研究課題
本研究は、大腸癌を腫瘍・免疫学的微小環境(tumor immune microenvironment)に基づき、個別的な免疫療法の可能性に迫るものである。網羅的遺伝子発現プロファイリングの応用と、ゲノム・プロテオームデータの利用、免疫組織学的検証、in vitroでの解析を組みあわせることで、間質TGFβシグナルを介して、免疫担当細胞上に免疫チェックポイント分子が誘導されることを想定し併用療法の可能性を検討する。独自の腫瘍間質プロファイリング手法を用いて多数のデータ解析を行った。大腸癌バルク組織に加え、オルガノイド・ゼノグラフトデータを応用し、間質TGFβ活性化が上記免疫チェックポイントと強く相関することを確認した。大腸癌の手術摘出標本を用いた免疫組織学的な検討、in vitroでの解析を行う。
2: おおむね順調に進展している
公開データを含む複数の大腸癌コホート、高スループットのプラットフォームを用いた解析が効率的に、かつ再現性をもって当研究の仮説をサポートしている。また、免疫染色や細胞実験が進行し臨床的・機能的検討がおおむね順調に進んでいる。それらの一部は論文として発表に至った。
in vitroで、癌細胞、免疫担当細胞を使用し、TGFβの意義や機能的検討を進める。免疫染色の評価手法を確立し臨床的な解析も並行して進める。
これまでの研究と本研究の関連から、一般試薬、抗体などがある程度研究室内に揃っていたこと、また本年度は公開データ解析が大きな柱であったことから当初の見込みに対し新規の支出が大幅に抑えられた。次年度使用額は細胞実験や臨床サンプル処理のための各種消耗品費に充当する。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Cancers
巻: 15 ページ: 4943~4943
10.3390/cancers15204943