研究課題/領域番号 |
22K08784
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
端山 軍 帝京大学, 医学部, 講師 (80533744)
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研究分担者 |
橋口 陽二郎 帝京大学, 医学部, 教授 (60251253)
福島 慶久 帝京大学, 医学部, 臨床助手 (70829126)
島田 竜 帝京大学, 医学部, 助手 (90785007)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | リピドミクス / 大腸がん / 早期診断 / 脂質パネル |
研究実績の概要 |
治癒切除を施行したStageI-III大腸癌におけるRASと臨床因子および再発予測に関する検討 【目的】RAS変異は抗EGFR抗体薬の効果予測因子として知られるが,臨床因子や再発との関連は明らかではない.大腸癌におけるRAS変異と臨床因子および再発について検討した. 【対象/方法】2015年~2018年に当院でRAS変異解析を施行し,大腸癌に対して根治手術を施行した268例を対象とし,retrospectiveに臨床因子および再発予測の検討を行った. 対象をRAS野生群(野生群)とRAS変異群(変異群)に分類して臨床学的因子および再発予測の検討を行った. 検討した臨床因子は,性別・年齢・癌占拠部位(右側対左側)・癌の組織型(tub1,tub2対それ以外)・v因子の有無・ly因子の有無・深達度(T1,T2対T3以深)・リンパ節転移の有無・術前CEA値・術前CA-19-9値・RAS変異の有無とした. 統計学的解析にはχ2乗検定および,生存曲線ではKaplan-Meier法を用いてlog-rank 検定を行った.再発因子解析にはcox比例ハザードモデルを用いた.【結果】2015年1月~2018年12月にかけて根治度A手術を行ったStageⅠ~Ⅲの大腸癌268例を対象とした.対象となった 268 例の大腸癌患者は,RAS 変異型は127例(47.4%)に認めた.KRAS 遺伝子変異は,122例 (45.5%)と NRAS 遺伝子変異は8例 (3%)の同時変異例は 3例 (1.2%)に認めた.3年無再発における検討では,単変量解析および多変量解析を行うと,組織型,深達度,リンパ節転移,術前CEA値,RASは独立した再発予測因子であった (p=0.01, 0.009, 0.001, 0.011, 0.006).RAS野生型、変異型に分けて3年無再発生存においてRASA野生型の方が有意に良好であった(3年生存率 85.9%, 75.3%,p=0.0154).【結語】RAS変異群は野生群と比較して年齢が高く,未分化癌が多かった.癌の組織型,深達度,リンパ節転移,RASおよび術前CEA値は独立した再発因子であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に予定通り手術検体が集まっている。 RAS変異が大腸癌の予後と相関していることが新たにわかったため論文化しAnticancer reserachにacceptされた。 RAS変異大腸癌においてCerS4が有意に発現していることがわかり論文化し海外雑誌に投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
大腸癌の早期診断においてCerS4や極長鎖脂肪酸が有用であることを報告している。極長鎖脂肪酸を中心に他の癌診断マーカーをリン脂質を用いて網羅的に解析中。
さらなる、癌診断マーカーを検索し癌診断キットを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定していた症例より少なかったため。
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