研究課題/領域番号 |
22K08798
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長井 和之 京都大学, 医学研究科, 講師 (30567871)
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研究分担者 |
増井 俊彦 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (20452352)
波多野 悦朗 京都大学, 医学研究科, 教授 (80359801)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 胆道癌 / 腫瘍内不均一性 / 癌幹細胞 / 微小環境 / ニッチ / 癌オルガノイド |
研究実績の概要 |
難治性固形癌の代表のひとつである胆道癌の死亡数予測 (2021年、国立がん研究センター統計)の順位は6位、5年相対生存率は4.5%であり、切除治療成績および化学療法や放射線療法などの非切除治療成績は不良である。このような薬剤に対する抵抗性や耐性獲得、再発・転移等の生物学的特性は、腫瘍組織内における癌細胞の多様性、すなわち「腫瘍内不均一性 (intra-tumor heterogeneity)」およびそれを生み出す「癌幹細胞 (cancer stem cell: CSC)」の活動として捉えることができる。しかしCSC自体を治療標的とする治療法は、これまで有効性を示すものはない。最近の知見では、非癌幹細胞は周囲の微小環境、すなわちニッチ (niche)によってCSCにリプログラムされ得ることが分かり、CSCの根絶には CSCそのものを標的とするだけでは不十分な可能性が示されている。本研究では胆道癌幹細胞および癌幹細胞ニッチの特性、相互作用、腫瘍内不均一性を生じ る分子機構を解明し、治療薬への展開、すなわちCSCおよびニッチを標的とするCSC niche-targeting therapyを創出することを目的としている。これまで本研究では、新規樹立したヒト胆道癌由来癌オルガノイドを用いたsingle-cell RNA-sequence解析によって、癌オルガノイドを構成する細胞集団がそれぞれの分化度によって大きく3種に分類でき、これらのクラスターがTACSTD2 (TROP2) をマーカーとして分類できる可能性を示した。またCSC niche因子としては1種のクラスターが主として発現するWNT7A/Bである可能性を示し、以上の結果は論文として公表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでのデータをまとめた論文報告がなされており、研究としては順調に進行していると考える。手術検体を用いたWNT7A/BおよびTROP2の免疫染色により、基礎実験で得られた腫瘍内不均一性が臨床検体においても再現性があることも確認できている。一方で生細胞を用いたFACS (fluorescence activated cell sorting) ソーティングを計画しているが、臨床サンプルを用いた実験には技術的ハードルが存在し、総合して予定よりはやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
既にヒト胆道癌由来癌オルガノイドを用いたsingle-cell RNA-sequence解析によって、CSC niche因子としてWNT7A/Bが候補として得られ、その制御因子として論文において公表されたdopamineのほか、未公表の候補因子が複数得られている。FACSソーティングされた生細胞を用いて、これらの候補因子から治療ターゲットの同定を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
オルガノイドの維持費(培養液)などについえ、オルガノイド凍結保存を行うなどで費用を抑えられたため、未使用額が生じ、次年度使用額に計上した。
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