• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

膵がん微小環境を標的としたホウ素中性子捕捉療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K08803
研究機関岡山大学

研究代表者

寺石 文則  岡山大学, 大学病院, 講師 (40432661)

研究分担者 野間 和広  岡山大学, 大学病院, 講師 (10534761)
道上 宏之  岡山大学, 中性子医療研究センター, 准教授 (20572499)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードホウ素中性子捕捉療法 / 膵がん / 微小環境
研究実績の概要

ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy; BNCT)は、がんにホウ素を取り込ませ、中性子照射によりがん選択的殺傷効果を得る「第5のがん治療」といわれる次世代粒子線治療である。我々はこれまで、難治性消化器がんを標的としたBNCTに関する基礎研究を行ってきた(基盤研究C: R1-3, 申請者)。
本研究の目的は、予後不良な膵がんに対するホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の開発を念頭に、グルコース輸送体(GLUT)を介して導入可能なホウ素薬剤を創出すること、膵がん組織(膵がん細胞&CAF)に対するBNCTの抗腫瘍効果を検証することである。
今年度はin vitro実験を中心に行い、原子炉施設での中性子照射実験を開始した。
まず、新規ホウ素薬剤(グルコース結合ホウ素薬剤)について、MS等による異性体等物性評価を行った。続いて、膵がん細胞株で細胞内ホウ素濃度をICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)にて測定、薬剤毒性をWST-8 assayにて評価した。また、細胞内のホウ素薬剤分布を免疫染色にて観察した。また、腫瘍微小環境の変化での薬剤取り込みを評価するため、低グルコース環境での糖-ホウ素剤の取り込み評価をICPにて行った。
次年度の予備実験として、異所性(皮下)および同所性モデルマウスを作成し、がん細胞株の移植の可否を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新規ホウ素薬剤の合成手法の確立、NMR, MSによる物性評価:新規ホウ素薬剤(グルコース結合ホウ素薬剤)について、MS等による異性体等物性評価を行った。
ホウ素薬剤の膵がん細胞内への取り込み、分布および毒性評価:数種類の膵がん細胞株で細胞内ホウ素濃度をICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)にて測定、薬剤毒性をWST-8 assayにて評価した。また、細胞内のホウ素薬剤分布を免疫染色にて観察した。
腫瘍微小環境の変化での薬剤取り込み評価:腫瘍微小環境を想定し、低グルコース環境での糖-ホウ素剤の取り込み評価をICPにて行った。

今後の研究の推進方策

in vivoでの実験とバックアッププランを遂行する予定である。
マウス担がんモデルに対する薬物動態評価(腫瘍、血液、各臓器)およびBNCTの抗腫瘍効果の検討:膵がん細胞移植によるモデルマウスを作製し、ホウ素薬剤抗体免疫染色にて導入を評価する。薬剤投与後に、各臓器のホウ素濃度をICP-MSにて測定する。膵がんをはじめとするLAT1低発現・GLUT高発現の腫瘍における、既存のホウ素薬剤BPAと糖-ホウ素薬剤の取込みを比較する。またBPAと新規ホウ素薬剤の併用療法で、各薬剤単独投与と比較した細胞内ホウ素取込みの比較を行う。ホウ素薬剤投与後に、細胞レベルで中性子照射し、殺細胞効果をコロニーフォーメーションアッセイにて評価する。また皮下腫瘍モデルでの治療効果の評価を行う。糖-ホウ素薬剤とBPAでの殺細胞効果を比較した後、BPAと糖-ホウ素薬剤併用で相乗治療効果の有無を検討する。
バックアッププランの遂行:BNCTがうまくいかなかったときに備え、予後不良膵がんのRNA-seqおよび公開データベースを用い、膵がん遺伝子解析による標的遺伝子探索(bioinformatics創薬)で予後不良因子遺伝子の同定と糖関連の発現遺伝子について検証する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により参加予定としていた学会がキャンセルとなったこと、購入予定であった試薬やマウスを実験の都合(順番)上、次年度に購入した方がよいと判断したため。また、新規ホウ素薬剤の合成安定に向けた薬剤調整が引き続き必要なため。

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi