研究課題/領域番号 |
22K08817
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
吉岡 政人 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (40375275)
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研究分担者 |
吉岡 年明 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (80302264)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Reg3 / 膵増殖関連因子 / 急速肝再生 / 二段階 / ALPPS |
研究実績の概要 |
我々はこれまで、門脈結紮と肝実質離断によって急激な肝再生がもたらされるラットのALPPSモデルを用いた研究を行い、1期目の手術である門脈結紮と肝実質離断術後の急速肝増大には、膵増殖関連遺伝子であるregenerating islet-derived (Reg)3αとReg3βが関与している可能性が高いことを示した。さらに近年の報告では、門脈結紮と肝離断による1期目手術後の急速増大だけでなく、2期目手術である肝切除後においても急速肝増大を来すことが示されている。今回我々は、ALPPS手術2期目の肝切除後におけるReg3遺伝子およびReg3蛋白の動態について検討した。 1) Reg3遺伝子動態について:RT-PCRの結果、Reg3α遺伝子は、control群: 0.181±0.045 と比較して7日目: 0.323±0.250であり、高発現していた(P<0.05)。Reg3βは、control群: 0.329±0.104 と比較して1日目に 0.910±0.307 と高くなり、7日目も0.813±0.445 と維持されていた。 2) 免疫染色によるReg3蛋白の発現:肝切除術後1日目が強く染色された。特に門脈の小葉管動静脈周囲に陽性細胞が多くみられた。以上から、ALPPS 2期目の肝切除後にもReg3の増加を認め、2期目手術後の肝再生におけるReg3の関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ALPPSにおける2期目の肝切除術後の肝再生にもReg3が関与していることは示唆できた。しかしながらコロナ継続下の状況であり、細胞培養などのin vitro実験までは行えなかった。令和5年度にはin vitro実験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
我々はこれまでにALPPSにおける肝増殖にはJac2/STAT3シグナルが関与していることを証明し、Jac2/STAT3シグナル伝達にReg3が関与していることも証明してきた。しかし、Reg3が直接Jac2/STAT3シグナルを動かしているのか、あるいは他の経路を経由して作用しているのかは不明なままである。引き続き、培養細胞を用いてReg3がJac2/STAT3シグナルに直接影響を与えているかを検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験だけでなく培養細胞を用いたin vitroの実験も予定していたが、in vitro実験までは行うことができなかった。in vitro実験に関しては令和5年度に行うこととしたため、余剰予算を令和5年度に使用する予定である。
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