研究課題/領域番号 |
22K08827
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宮坂 義浩 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (40507795)
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研究分担者 |
佐田 政史 九州大学, 大学病院, 助教 (10783508)
阿部 俊也 九州大学, 大学病院, 助教 (20722028)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 食道癌 / 樹状細胞(DC) / scRNA-seq / 腫瘍微小環境 |
研究実績の概要 |
腫瘍微小環境(TME)内には不均一性(heterogeneity)が存在し、固形がんではこのheterogeneityが癌の治療抵抗性に関与し、癌治療の妨げとなっている。腫瘍局所では、抗原を取り込んだ樹状細胞(DC)がリンパ節へ移動しT細胞へと抗原提示し抗腫瘍効果を発揮する「腫瘍免疫サイクル」の一部に障害があるため免疫学的な抗腫瘍効果が失われると言われている。しかし、DCの機能的なheterogeneityについてはその解析の困難さから明らかになっておらず、特にヒト切除サンプルを用いた検討でDCのheterogeneityに着目した検討は少ない。現在我々は、遺伝子の網羅的発現解析を一細胞ごとに行うsinglecellRNA-sequence(scRNA-seq)を用いてTMEの解明を行なっている。食道癌のTME、特にDCに着目しscRNA-seqを行うことで、DCの活性状態や機能不全状態を評価する。今回我々は、食道癌の術前化学療法の有無で症例を分けて解析し、CD8T細胞はアポトーシスや疲弊を回避し、Th1細胞はよりメモリーへと誘導され、疲弊も回避されることがわかった。一方で、Treg細胞は細胞傷害性や免疫抑制能力が低下しており、DCのサブタイプで分けると抗原提示性が増加しているサブタイプを同定した。また、DCの他のサブタイプでは免疫抑制活性は低下しており、移動性は強化されていることがわかった。以上より、食道癌の化学療法によりDCは抗腫瘍免疫応答を増強していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト食道癌検体の手術サンプルのライブラリ作成は随時行なっている。scRNA-seqに関しても習熟度が上がっており,サンプルから解析を行い、食道癌のTMEにおけるDCの役割を解明していく。
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今後の研究の推進方策 |
食道癌のTMEにおけるDCのサブタイプ,それらの機能を詳細に解析し、TME内での役割を解明する。またTME内で重要となってくる、DCの遺伝子発現を同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画はおおむね順調に進展しており、資金を有効に使用できたため。次年度は引き続き研究用試薬、受託解析等に使用予定である。
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