研究課題/領域番号 |
22K08836
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
井田 智 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 医長 (80583038)
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研究分担者 |
渡邊 雅之 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 部長 (80254639)
今村 裕 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 医長 (70583045)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 胃癌 / ダンピング症候群 / 血糖変動 / 持続血糖測定 |
研究実績の概要 |
胃切除後は食物の経路を再建することにより様々な「胃切除後障害」を経験する。その代表がダンピング症候群であり血糖値の変動が一因と考えられてきた。しかし、いまだ不明な点も多く、確立した診断基準や治療法がないのが現状である。そこで本研究では、胃切除後患者のダンピング症候群の発生を軽減し、患者の長期的な生活の質(QOL)の改善につながる新たな支持療法を開発することを目的とする。 今回、非侵襲的持続血糖測定器(Continuous Glucose Monitoring: CGM)と症状アンケート調査を用いて胃癌術後の血糖変動と症状との関係について、症例数を増やし詳細に検討した。ダンピング症状は全体の71.8%に認め、高頻度であった。術式や再建法により血糖変動と症状出現の割合が異なることが明らかとなり、術式毎の発生率は、幽門側胃切除術-BI再建 : 幽門側胃切除術-RY再建 : 胃全摘 : 幽門保存胃切除術=70 : 88.9 : 80 : 50 (%)であった。 さらに血糖変動の指標として、血糖値が140mg/dlより高い時間の割合(time above range: TAR)(%)、1日の血糖値の最高値-最低値(Max-Min)、食前の血糖値と最高値までの上昇の傾き、変動係数(Coefficient of Variation:CV)を求めた。全術式における変動指標の中でMax-Minが有意にダンピング症状の発生に関係していた (p=0.009)。傾きとTARもそれぞれ強い傾向を認めた(p=0.13, 0.16)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既報データが少ない領域であるため、介入試験を行う前に予備研究を慎重に進めた。その結果、術式毎に変動が異なり、また大きな血糖がダンピング症状の発生に寄与することが確認された。さらに、膵内分泌因子の変化などの測定系も構築し、介入研究へ向けた足がかりができた。
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今後の研究の推進方策 |
ダンピング症状の発生頻度の高い胃全摘/幽門側胃切除後患者を対象とする、安全性及び至適容量探索を目的とした、単施設、前向き、介入研究を進める。
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