研究課題/領域番号 |
22K08845
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小山 啓介 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90804071)
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研究分担者 |
小林 省吾 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (30452436)
岩上 佳史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60597441)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 細胞老化 / グルタミナーゼ1 / 膵癌 |
研究実績の概要 |
ヒト膵癌細胞(MIA PaCa-2、PANC-1)におけるゲムシタビン投与による細胞老化を検証し、膵癌老化細胞モデルを安定して作成できるようにし、その細胞の表現型の変化を観察し、老化癌細胞でゲムシタビンの感受性が低下して長期生存すること、老化癌細胞においてグルタミナーゼ1の発現が上昇していることを確認した。Cytotoxic assayによりIC50以下の濃度でゲムシタビンを72時間暴露することで得られた老化癌細胞を用いた。老化癌細胞と通常の癌細胞の共培養により老化随伴分泌現象因子が周囲の癌細胞に与える影響を検証した。老化癌細胞は周囲の癌細胞に対して上皮間葉転換を誘導することが観察された。老化癌細胞に対してグルタミナーゼ1阻害薬の投与を行った。老化癌細胞はグルタミナーゼ1の発現が上昇し、生存に依存していることから選択的な老化癌細胞除去が観察された。ゲムシタビン耐性膵癌細胞においてもグルタミナーゼ1の発現の上昇が観察されたが、老化癌細胞とは異なる形質を示した。皮下腫瘍モデルマウスおよびヒト膵癌切除検体を用いた細胞老化とグルタミナーゼ1と予後の関係について検討を行った。ヒト膵癌切除検体においてはゲムシタビンを含む術前化学療法が行われた膵癌切除症例においてグルタミナーゼ1の発現が全生存期間、無再発生存期間ともに独立した予後因子であることを確認した。皮下腫瘍モデルマウスはヒト膵癌細胞の皮下移植によって作成した腫瘍に対してゲムシタビンおよびグルタミナーゼ1阻害薬であるBPTESの腹腔内投与による変化を観察するモデルを作成した。 研究内容について第42回日本分子腫瘍マーカー研究会、2nd International Congress of Asian Oncology Society、第81回日本癌学会学術集会における研究発表を行った。また、研究内容について現在論文作成、投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞実験においてはほぼ固まっており、予定通りの研究内容にて論文作成、投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト膵癌細胞の皮下腫瘍モデル免疫不全マウスにおける細胞老化と老化癌細胞除去について追加で検証を行い、論文投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品の値上がりを考慮し、次年度に費用を繰り越した。
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