研究課題/領域番号 |
22K08849
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
武田 茂 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50403671)
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研究分担者 |
恒富 亮一 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (10420514)
中島 千代 山口大学, 医学部附属病院, 診療助教(4日/週) (30906912)
松井 洋人 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (60780781)
井岡 達也 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (70501815)
新藤 芳太郎 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (70749811)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 癌 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、個別化医療 (precision medicine) 実現のために、難治がんである膵癌を対象とし、個々のがん患者における抗がん剤副作用を予測可能とするバイオマーカーを探索し、最も有効で副作用のない治療を選択可能にすることである。本研究により、膵癌に対してGEM+nab-PTX療法を施行する際に前もって副作用、また治療効果が予測可能となれば、副作用抑制による患者QOLの向上だけでなく、mFOLFIRINOX療法の選択機会の提供にもつながる。膵癌に対するGEM+nab-PTX療法は、FOLFOXIRI療法よりも副作用リスクは低いとされているが、好中球減少は高頻度に見られる。抗癌剤副作用は癌細胞ではなく骨髄細胞などの正常細胞への影響により発生することから、特定の遺伝子多型から副作用発生を事前予測可能な場合がある。 これまでに大腸癌FOLFIRI療法を受けた患者から得たゲノムDNAの全エクソン解析から好中球減少と相関する遺伝子多型としてR3HCC1遺伝子に位置する遺伝子多型を同定した。FOLFIRI療法における好中球減少は主にイリノテカンによって引き起こされると考えられ、イリノテカンを含む3剤併用療法である膵癌mFOLFIRINOX及び大腸癌FOLFOXIRIにおける好中球減少とR3HCC1遺伝子多型との相関を解析した。mFOLFIRINOX (n=40) 、FOLFOXIRI (n=23)と少数例の解析であるが、R3HCC1と好中球減少との間に有意な線形傾向が認められた。また、膵癌mFOLFIRINOX症例の全エクソン解析からもマーカー候補遺伝子多型を得ており、この中にはGEM+nab-PTX療法における好中球減少との相関を示す遺伝子多型も認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵癌mFOLFIRINOX症例の全エクソン解析からもマーカー候補遺伝子多型を得ており、この中にはmFOLFIRINO療法だけでなく、GEM+nab-PTX療法における好中球減少との相関を示す遺伝子多型も認められた。
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今後の研究の推進方策 |
膵癌mFOLFIRINOX症例およびGEM+nab-PTX症例における全エクソン解析からの好中球減少と相関する遺伝子多型について検証を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
既に実施済みであった次世代シーケンスデータのvalidation解析を優先したため、次世代シーケンス試薬の係る経費が減少した。次世代シーケンス解析に係る経費に充当する予定である。
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