研究課題/領域番号 |
22K08880
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
高村 博之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40377396)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | Sphingomyelin synthase 2 |
研究実績の概要 |
本研究では,マウスの脂肪肝の肝発がんモデル,薬剤(モノクロタリン:MCT)誘発性の肝・肺の静脈閉塞症候群(VOD)モデル,VOD の大腸がん肝・肺転移モデルを用いて,スフィンゴミエリン (SM) をセラミドから合成するための酵素である Sphingomyelin synthase 2 (SMS2) の遺伝子をノックアウト (SMS2-KO) することにより,脂肪肝発がんの抑制や薬剤誘発性肝・肺 VOD の低減,大腸がん細胞の肝・肺転移の抑制につながるかどうかを検証するとともに,新規選択的 SMS2 阻害薬でも同様の効果が認められることを明らかにし,臨床応用へと繋げられる基礎的研究成果をあげることを目的として実施している.これまでのところ選択的 SMS2 阻害薬の譲渡契約に至っていないため,SMS2-KO を用いた研究を先行して行っている.さらに,がん細胞株そのものの SMS2 をノックアウトした細胞を作成して研究を開始している.これまでの研究成果は以下の通りである. 研究1.C57BL/6マウスを用いて,薬剤(MCT)誘発性の肝・肺における静脈閉塞症候群(VOD)が SMS-KO で軽減されるかどうかを検証した.SMS2-KO で肝と肺の VOD が抑制されることを明らかにした. 研究2.C57BL/6マウスを用いて,薬剤(MCT)誘発性の肝・肺の VOD が同系マウス由来の大腸がん細胞(MC38)の肝転移と肺転移を促進するかどうかを検証した.肝と肺の VOD により,MC38 の脾注による肝転移と尾静脈注による肺転移が促進されることを明らかにした. 研究3.C57BL/6マウスを用いて,薬剤(MCT)誘発性の肝・肺 VOD による MC38 の脾注による肝転移と尾静脈注による肺転移の促進効果が,SMS2-KO で抑制されるかどうかを検証している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内で開発された選択的 SMS2 阻害薬が特許等の問題で譲渡契約に至っておらず,また外国で開発されたものは購入費があまりに高額なため入手困難な状況にあり,選択的 SMS2 阻害薬の研究を実施できずにいる.そのため,SMS2 ノックアウトマウスを用いた研究を先行して行うとともに,がん細胞そのものの SMS2 をノックアウトした細胞株を用いた研究も開始している.
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の研究を実施する予定です. 研究3.C57BL/6マウスを用いて,薬剤(MCT)誘発性の肝・肺 VOD による MC38 の脾注による肝転移と尾静脈注による肺転移の促進効果が,SMS2-KO で抑制されるかどうかを検証している. 研究4.作成した MC38 の SMS2-KO 細胞株を用いて,脾注による肝転移と尾静脈注による肺転移が SMS2-KO で抑制されるかどうかを検証する.同時に薬剤(MCT)誘発性の肝・肺 VOD による MC38 の脾注による肝転移と尾静脈注による肺転移の促進効果が,MC38 細胞株そのものの SMS2-KO でも抑制されるかどうかを検証する. 研究5. 選択的 SMS2 阻害薬の譲渡契約が成立したら,研究1~4の SMS2-KO による抑制効果と SMS2-KO による脂肪肝の肝発がん抑制効果が,選択的 SMS2 阻害薬でも認められるかどうかを検証する. 上記が明らかにできたら,臨床応用に向けた準備を進めたいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
国内で開発された選択的 SMS2 阻害薬が特許等の問題で譲渡契約に至っておらず,また外国で開発されたものは購入費があまりに高額なため入手困難な状況にあり,選択的 SMS2 阻害薬の研究を実施できずにいる.上記理由で SMS2 阻害薬の購入費を計上しなかったため,研究費の使用額が当初の見積額を下回った.現在,SMS2 ノックアウトマウスを用いた研究を先行して行うとともに,がん細胞そのものの SMS2 をノックアウトした細胞株を用いた研究を開始している.今後,選択的 SMS2 阻害薬の入手が可能となる予定であるが,同薬剤の購入費が高額になることが予想されるため,本年度の余剰金をこれにあてる必要がある.
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