研究課題/領域番号 |
22K08886
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
久保田 隼介 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (10862021)
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研究分担者 |
袴田 健一 弘前大学, 医学研究科, 教授 (30271802)
三浦 卓也 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (30722136)
吉澤 忠司 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (70761071)
諸橋 聡子 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (90569592)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 直腸癌 / 術前治療 / 壁外病変 / プロテオーム解析 |
研究実績の概要 |
局所進行直腸癌のうち、術前化学療法 (NAC)後に壁外病変が残存するNAC抵抗症例は、特に予後不良である。2015-2021年に当科でNAC後に根治手術を施行した直腸癌患者を対象として、NAC後EMVI、TDの残存の有無によりNAC奏功/抵抗群に分類した。手術標本パラフィン包埋ブロックを用いてプロテオーム解析を行った。プロテオーム解析の結果、二群間で発現に差のある代表的なタンパク質は、硫黄代謝に関連する生物学的経路であるSulfur metabolism pathwayに関連していた。Sulfur metabolism pathwayの構成因子に着目すると、NAC抵抗群におけるSelenium-binding protein 1 (SELENBP1) の発現低下が明らかになった。 組織学的な検証実験として、免疫染色を併施した。NAC治療効果の低下とSELENBP1の発現低下が段階的に関連していることが組織学的に明らかになった。 さらに、生存解析を行った。SELENBP1発現低下がNAC治療効果のみならず、直腸癌患者の手術後無再発生存期間にも関連していることが明らかになりました。治療前生検検体でも同様の傾向が確認された。これらの結果から、SELENBP1は直腸癌の治療効果および予後予測因子として有用であることが示唆された。 以上の結果を論文化し、国際的学術雑誌 Annals of Surgical Oncology へ掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
結果を論文化し、国際的学術雑誌 Annals of Surgical Oncology へ掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
組織透明化法やその他の組織学的手法、および細胞実験を行うことで検証実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度には、これまでに得られた成果を論文化する執筆作業に時間を要した。2024年度には、更なる知見を得るために検証実験を行う予定である。免疫染色、組織透明化法に用いる抗体および試薬の購入を計画している。また、細胞実験に用いる細胞株や培地等の購入を計画している。
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