研究課題/領域番号 |
22K08893
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
松永 知之 鳥取大学, 医学部, 助教 (40743274)
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研究分担者 |
宍戸 裕二 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (00812702)
井上 正宏 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (10342990)
宮谷 幸造 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (30758173)
藤原 義之 鳥取大学, 医学部, 教授 (40314330)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 胃癌 / 腹膜播種 |
研究実績の概要 |
胃癌の腹膜播種転移は患者予後を悪化させる術後再発・転移様式であり、これを制御することは胃癌克服に大きく貢献する。しかし、胃癌の腹膜播種に対する現時点での全身化学療法の効果は充分とは言えず、当院では2017年5月から臨床研究として腹腔内化学療法を現在も行っている。当院のデータでは腹水中の浮遊癌細胞に対し、腹腔内化学療法は一定の効果を示しているが、播種巣に対する効果は限定的である。その一原因として腹膜中皮と癌細胞クラスターの相互作用が腹膜播種結節の治療抵抗性に関与していると着想し、播種結節に着目した研究が急務と考えている。そこで播種結節からCTOS(Cancer Tissue-Originated Spheroid)法を用いオルガノイドを作成し、それらを用い病理学的解析、薬剤感受性試験、中皮細胞との共培養やマウス腹膜播種モデルの作製等行いたいと考えている。そのためには、まずは手術にて採取された播種結節から、CTOS法を用いてオルガノイドを作成する必要がある。2022年に当院に紹介された10例の胃癌・腹膜播種患者の腹腔鏡下試験開腹時に採取した腹膜播種結節からCTOS法にてオルガノイドを作成し、長期維持培養が可能な適切な培養条件を検討した。従来の大腸癌オルガノイド作成に習い、StemPro medium、advanced DMEM mediumでの検討を行ったがうまくいかなかった。Growth factorの含有を調節し、適当な培養条件の選定を行っている。同時に、播種結節を包埋・薄切し保存している。 出張費に関しては、胃癌に関する最新の知見を得るために、2023年胃癌学会(札幌)に参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
胃癌腹膜播種を疑った場合、診断のために腹腔鏡下試験開腹術を行い、摘出した播種結節の一部を本研究に使用しているが、今年度当院に紹介される患者の著しい減少があり想定した数の検体採取を行えなかった。そのためオルガノイドの作成並びに作成したオルガノイドの適正な培養条件検討に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き採取した播種結節からオルガノイド作成を行い、長期培養可能な培養条件を確立する。また、同時に採取される腹水においても臨床プロトコールに沿って経時的にサンプリングしオルガノイド作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
播種検体を採取する症例が次年度は増加することが予想され、培養にかかる物品費が今年度より必要となる。
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