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2022 年度 実施状況報告書

免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍作用に対する抗ヒスタミン薬の増強効果

研究課題

研究課題/領域番号 22K08902
研究機関昭和大学

研究代表者

倉増 敦朗  昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (90302091)

研究分担者 吉村 清  昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30346564)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード免疫チェックポイント阻害薬 / ヒスタミン / PD-1 / ヒスタミンH1受容体
研究実績の概要

近年注目されている免疫チェックポイント阻害薬は、宿主の免疫細胞機能を抑制するシグナル伝達を阻害することにより抗腫瘍効果を示すが、奏効率が低いという課題がある。公開がんゲノムデータベースの解析から、膵癌腫瘍組織検体のヒスタミンH1受容体mRNA発現量が全生存率と逆相関することを見出した。ヒスタミンH1受容体は恒常的活性を持つことから、発現量は受容体シグナルと相関すると考えられる。抗アレルギー薬として広く用いられているヒスタミンH1受容体拮抗薬の多くは、逆アゴニスト活性を持つため、H1受容体拮抗薬は、ヒスタミンの多寡に関わらず、受容体シグナルを低下させると考えられる。また、上記データベースより得たデータを用いて、H1受容体高発現群とH1受容体低発現群で、RNAシークエンスデータを比較したところ、H1受容体低発現群では、腫瘍浸潤リンパ球が多いことが予想された。このことから、H1受容体拮抗薬との併用が免疫チェックポイント阻害薬の奏効率を向上させる可能性があると考えた。本年度は、マウスCT26皮下移植腫瘍モデルを用いて、抗PD-1抗体単独治療群と抗PD-1抗体とH1受容体拮抗薬セチリジンの併用治療群を比較したが、腫瘍増大曲線に有意な差はなかった。マウスCT-26皮下腫瘍モデルでは、H1受容体拮抗薬と抗PD-1抗体の相乗効果は無いと考えられる。また、がん細胞のH1受容体mRNAを誘導性にノックダウンするウイルスベクターを作成した。このウイルスベクターを用いて、ヒト膵癌細胞Panc-1のH1受容体を誘導性にノックダウンし、in vitro解析やin vivo腫瘍モデルに供する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

公開データベースのIn silico解析から、有用な情報を得ることはできたが、今までのところ、細胞レベルのin vitro解析や、マウス腫瘍モデルを用いた解析では、予想された結果は得られておらず、やや遅れている。

今後の研究の推進方策

レンチウイルスを用いて、ヒト膵癌細胞のH1受容体をノックダウンした細胞株を樹立する。これを免疫不全マウスに移植し、健常人ドナー由来T細胞を移入し、H1受容体拮抗薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用効果を検討する。
マウス同種癌細胞移植モデルでは、皮下移植以外のモデル、即ち大腸炎症性発がんモデルや、口腔・食道癌自然発生モデルなど、他のモデルを用いて、H1受容体拮抗薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用効果を検討する。

次年度使用額が生じた理由

購入した抗体が想定価格より安かったため次年度使用額が生じた。次年度に細胞培養試薬購入のために使用し、それ以外の使用計画に大きな変更はない。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Verification of the Usefulness of an Assessment and Risk Control Sheet that Promotes Management of Cancer Drug Therapy2022

    • 著者名/発表者名
      Honma O.、Kuramasu A.、Tsunoda T.、Yoshimura K.ら
    • 雑誌名

      Frontiers in Pharmacology

      巻: 13 ページ: ー

    • DOI

      10.3389/fphar.2022.744916

    • 査読あり
  • [学会発表] 糞便移植のための腸溶性糞便カプセルの開発2022

    • 著者名/発表者名
      倉増敦朗、原田努、細沼雅弘、磯部順哉、石野敬子、肥田典子、三邊武彦、辻まゆみ、木内祐二、小林真一、角田卓也、吉村清
    • 学会等名
      第43回日本臨床薬理学会学術総会

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公開日: 2023-12-25  

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