研究課題/領域番号 |
22K08907
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
伊藤 誠二 愛知県がんセンター(研究所), 分子診断TR分野, 研究員 (50393129)
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研究分担者 |
田口 歩 愛知県がんセンター(研究所), 分子診断TR分野, 分野長 (50817567)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 胃がん / 微小転移 / バイオマーカー / プロテオーム解析 |
研究実績の概要 |
胃癌の治療成績向上のために、腹膜転移の制御は極めて重要である。腹膜播種の制御における全身補助化学療法の効果には限界があり、全身・腹腔内併用化学療法の開発が進んでいる。補助化学療法としての腹腔内化学療法の治療対象は、肉眼的には認識できない腹膜微小転移であり、これまでに、高感度の遺伝子ベースの腹膜微小転移検出法が開発されており、一定の役割が示されているが、通常の病理組織学的所見による腹膜再発モデルによる予測を大きく凌駕するには至っておらず、広く臨床応用されるには至っていない。 本研究では、高感度プロテオーム解析技術を応用して、既存研究では見出しえなかった腹腔洗浄液バイオマーカーを同定、精度の高いバイオマーカーパネルを構築することにより、革新的な胃癌腹膜播種の再発予測法を開発する。 これまでに、155例の腹腔洗浄液検体を収集しており、このうち、①手術時腹膜播種症例が31例、②手術後腹膜再発症例が5例、③2年間再発のなかった進行胃癌手術症例が20例、④早期胃癌症例が44例含まれている。 今後、これらの症例から可能な限り臨床因子をマッチさせて、各群3-5例ずつ選び、免疫グロブリン複合体を回収、アルブミンなどの高含量タンパク質を取り除き、リプシン消化後、定量ラベル試薬を反応、ペプチド分画システムによる大規模分画を行い、超高感度な定量的プロテオーム解析を行う。 これらのプロテオームデータと、The Cancer Genome Atlas (TCGA)などの公開されている遺伝子発現データを統合して解析し、胃癌に特異的なバイオマーカー候補の同定を行うとともに、バイオマーカー候補のタンパク質、自己抗体については、ELISA、免疫組織学的染色、プロテインアレイなどを用いた検出アッセイを確立し、組織や腹腔洗浄液検体での検出を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに、155例の腹腔洗浄液検体を収集しており、このうち、①手術時腹膜播種症例が31例、②手術後腹膜再発症例が5例、③2年間再発のなかった進行胃癌手術症例が20例、④早期胃癌症例が44例含まれている。COVID-19感染の広がりによる手術症例数の減少および再発症例の発生が比較的少なかったために予定よりもやや進捗が遅れていたが、定量的プロテオーム解析に必要な症例数の解析が達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、高深度タンパク質解析として、これらの症例から可能な限り臨床因子をマッチさせて、各群3-5例ずつ選び、等タンパク質量の腹腔洗浄液を混合、Protein A/G Beadsを用いて免疫グロブリン複合体を回収、さらにアルブミンなどの高含量タンパク質を取り除く。トリプシン消化後、定量ラベル試薬を反応、ペプチド分画システムによる大規模分画を行い、超高感度な定量的プロテオーム解析を行う。 抗原―自己抗体複合体解析として、免疫グロブリンから選択的に分離したタンパク質をトリプシン消化、サンプル毎に質量分析を行い、免疫グロブリンに結合した抗原タンパク質を同定する。既存のアミノ酸シーケンスデータベースに基づくタンパク質同定に加えて、データベース非依存性のde novoアミノ酸シーケンス解析を行い、遺伝子突然変異に由来するネオアンチゲンや、Long non-coding RNAにコードされるような、未知の免疫原性を有するペプチドの同定も試みる。 これらのプロテオームデータと、The Cancer Genome Atlas (TCGA)などの公開されている遺伝子発現データを統合して解析し、胃癌に特異的なバイオマーカー候補の同定を行う。バイオマーカー候補のタンパク質、自己抗体については、ELISA、免疫組織学的染色、プロテインアレイなどを用いた検出アッセイを確立し、組織や腹腔洗浄液検体での検出を行う。 今後、引き続き腹腔洗浄液検体の収集を継続するとともに、バイオマーカーの初期検証研究として、胃癌患者由来腹腔洗浄液検体(腹膜播種30例、腹膜再発無し70例)を用いて、CEA mRNAなど他の有望なバイオマーカーとともにアッセイを行い、バイオマーカーの組み合わせによる精度向上に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、腹腔洗浄液検体の収集および腹膜再発症例の発生状況のため、当初予定していた定量的プロテオーム解析に至っていないためである。 次年度以降、予定していた定量的プロテオーム解析を行うため、当該予算を支出予定である。
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