研究課題/領域番号 |
22K08918
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井出 雄二郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (40813738)
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研究分担者 |
池田 義 京都大学, 医学研究科, 准教授 (40281092)
池川 雅哉 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (60381943)
馬場 志郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (60432382)
升本 英利 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (70645754)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 先天性心疾患 / 肺動静脈瘻 / 病態モデル / iPS細胞 / イメージング質量分析 |
研究実績の概要 |
本研究では、網羅的ペプチド解析とイメージング質量分析法を含む最新の蛋白解析手法を用いて、これまで存在が推測されてきたが未だ特定には至っていない、肺動静脈瘻の発生に関与すると考えられている特異的物質「hepatic factor」を同定し、肝肺症候群に対する治療法へつながる知見を取得することを目的とする。さらにヒトiPS細胞を用いたヒト肺動静脈瘻モデルに対する候補化合物の投与による肺動静脈瘻治療および予防効果の検討を行い、臨床応用の可能性を検証する。その成果は治療薬の開発に直接的につながることが期待され、機能的単心室に対する治療成績の改善が見込まれる。本年度は主に以下の2項目について研究開発を進めた。 1 上大静脈・下大静脈からの血液検体のサンプリング:検体採取の対象者は、3歳未満の先天性心疾患患者で、診断・治療目的に心臓カテーテル検査を必要とする者であった。本年度においては対象者5名よりサンプリングを実施した。上大静脈および肝静脈において、それぞれ2mlの静脈血を採取した。 2 血液サンプル内のタンパク分析:採取した血液サンプルの遠心分離により血清を採取し、測定機関(同志社大学 生命医科学部 医生命システム学科 池川研)に運び、MALDI-TOF/MS式の質量分析器(rapifleX(Bruker社)など)によるイメージング質量分析における特異的シングルピークを同定した。上記の結果に加えて、tims TOF Pro with anoElute (Bruker Daltonik社)を用いたショットガン解析による網羅的蛋白解析を行い、既存のヒトプロテオームライブラリを用いたソフトウェア解析により、統計学的有意には至らないまでも有意である可能性がある、「上代静脈血に含まれず」かつ「肝静脈血に含まれる」複数の蛋白をhepatic factorの候補として同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度においては、予定通り患者からの血液サンプルの採取を行うことができ、また本研究の中心的な課題となる蛋白分析によるhepatic factor候補の同定まで進めることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでの成果を踏まえ、同定したhepatic factor候補蛋白に対する、ヒトiPS細胞を用いたヒト肺動静脈瘻モデルでの効果判定により、最終的なhepatic factorの同定を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は蛋白解析において予想以上に安価に実験を進めることが出来たため、一部の経費を来年度に繰り越すことになった。来年度はその分の経費を用いて、蛋白解析の実験数を増やす予定である。
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