研究課題
先天性心疾患の一つである純型肺動脈閉鎖症の発症原因は分かっておらず、発症に関与する候補遺伝子として複数の希少コピー数多型があげられているものの、原因となる遺伝子は未だ特定されていない。そこで我々は、岡山大学病院にて治療している純型肺動脈閉鎖症の患者の血液サンプルの採取を行い、岡山大学病院バイオバンクにて匿名化の後、保管した。今後は、保管された血液サンプルを用いて全ゲノムシークエンスを行ったのち、トリオ解析により得られた両親の遺伝子配列と比較することで、de novo変異によるバリアント候補を同定する。またその次に、モデル動物による病態再現性の検討として、選定された因子が純型肺動脈閉鎖症の発症に関与するか、モデル動物を作製し検証する。マウス、あるいはラットにCRISPR/CAS9系を使用し、選定された因子を導入する。理想的には、knockout/knock in系を使用するのが好ましいが、point mutationのみならずCNVに起因するin/delにも対応できる形でguide RNAの作成を行うことを想定している。作成されたguide RNAとCAS9タンパクをマウス受精卵にインジェクションすることにより、F0のキメラマウスを得る。続いて、野生型のマウスと交配することによりジャームライントランスミッションを経たF1個体を樹立する。F1個体同士を交配、F2個体を樹立し、病態再現性を確認するモデルとする予定である。