研究課題/領域番号 |
22K08974
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
杉本 誠一郎 岡山大学, 大学病院, 准教授 (40570148)
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研究分担者 |
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30397880)
岡崎 幹生 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (50467750)
逢坂 大樹 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70839141)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 高ヒスチジン糖タンパク質(HRG) / 虚血再灌流障害 / 早期移植肺機能不全(PGD) / 肺移植 / マウス / 好中球浸潤 / 急性肺障害 / アポトーシス |
研究実績の概要 |
肺移植後の虚血再灌流障害は早期移植肺機能不全の主因であり、急性拒絶反応や慢性移植肺機能不全の発症や、肺移植後生存率が低下する要因となる。肺移植後の予後を改善するためには虚血再灌流障害の制御がキーとなるが、虚血再灌流障害にはHigh-mobility group box 1(HMGB1)などの様々な炎症性サイトカインが関与する。本研究では、HMGB1を介した炎症反応を抑制する、高ヒスチジン糖タンパク質(Histidine-rich glycoprotein, HRG)に着目した。HRGは凝固、線溶、炎症の調節等に関与する多機能性の血漿糖タンパク質である。申請者は、肺移植患者の血液検体を用いて、肺移植後72時間における高度の早期移植肺機能不全症例では血漿HRGが低下しており、HRGの低下が将来的な慢性移植肺機能不全の発症や全生存率の低下に関連するという知見を得た。本研究では、マウス肺門クランプモデルを用いて、肺の虚血再灌流障害に対するHRG補充療法の治療効果を検討している。まず、予備実験を行い、肺移植患者と同様に、マウスの肺虚血再灌流障害でも血中HRGの発現が低下することを確認した。次に、HRGの治療効果を評価するために最適な虚血時間や評価のタイミングを含めた実験モデルを確立した。その後、マウスを偽手術群と虚血再灌流障害群に分け、更に虚血再灌流障害群をコントロールとしてPBSを投与するPBS群、ヒト血清アルブミン(HSA)を投与するHSA群、HRGを投与するHRG群の4群に分け、4群間で動脈血液ガス、組織学的肺障害スコア、好中球浸潤、アポトーシス、炎症性メディエーターの発現などの評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス肺門クランプモデルを用いて予備実験を行い、肺移植患者と同様に、マウスの虚血再灌流障害肺で血中HRGの発現が低下することが確認できた。次に、HRGの治療効果を評価するために最適な虚血時間や評価のタイミングなどの実験モデルを確立することができた。その後、マウスを偽手術群と虚血再灌流障害群に分け、更に虚血再灌流障害群をコントロールとしてPBSを投与するPBS群、ヒト血清アルブミン(HSA)を投与するHSA群、HRGを投与するHRG群の4群に分け、4群間での肺障害の評価を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに確立したマウス肺虚血再灌流障害の実験モデルを用いて、引き続き4群間で動脈血液ガス、組織学的肺障害スコア、好中球浸潤、アポトーシス、炎症性メディエーターの発現などの評価を行っていく。
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