研究課題/領域番号 |
22K08977
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
田上 幸憲 長崎大学, 病院(医学系), 医員 (60806371)
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研究分担者 |
高村 祐磨 長崎大学, 病院(医学系), 医員 (20866636)
土谷 智史 富山大学, 学術研究部医学系, 特命教授 (30437884)
岩竹 真弓 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (40624614)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | バイオマテリアル / 脱細胞化組織骨格 / 間葉系幹細胞 / HLA-G |
研究実績の概要 |
本研究ではキーファクターとして母子-胎児間の免疫寛容に必須であるHuman Leukocyte Antigen-G (HLA-G)の役割に着目し、組織由来(骨髄、脂肪、臍帯)の異なる間葉系幹細胞での発現と組織/免疫反応への効果をin vitroで比較することを目的としている。 HLA-Gは免疫抑制性 T 細胞(Treg細胞)を誘導することが知られているが、Laminin411、Type-Iコラーゲンなどの細胞外基質上で間葉系幹細胞を培養すると、その種類によってHLA-Gの発現誘導に差があることが明らかとなった。 また、ラット肺移植モデルにおける免疫抑制に対するレシピエントおよびドナーの脂肪由来MSC(ADMSC)の影響についても解析を重ねた。雄8週齢のLewisラットよりADMSCを抽出し、抗原刺激を受けた分裂増殖期のリンパ球へのBrdUの取り込みを測定する混合リンパ球反応(MLR)アッセイを行った。ADMSCと脾細胞を共培養し、免疫反応を評価するシステムを構築した。その結果から、ADMSC をはじめとする細胞治療は、サイトカインやエクソソーム分泌を介し、肺移植医療においても多面的、重層的な免疫抑制効果が期待できることが示唆された。 さらに、ブタ脱細胞化気管・気管支をラットおよびカニクイザル気管に同所移植するモデルにおける解析からは、自己脂肪由来MSCによって免疫抑制反応が起こるという知見が得られた。 これらの結果を基に、HLA-Gとの関連について作用機序の解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臍帯由来間葉系幹細胞の入手にあたり、学内の倫理申請および共同研究契約締結に時間を要したが、年度内には無事に入手完了しており、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従って、HLA-Gによる免疫抑制機序解明についてin vitroでの検証を実施する。また、in vivo での検証については、マウスでのヒトMSCによる免疫抑制効果について解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた解析実験を次年度に実施することになったため、繰越額は解析実験に必要な物品の購入に充てる予定である。
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