研究課題/領域番号 |
22K08987
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
田中 文啓 産業医科大学, 医学部, 教授 (10283673)
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研究分担者 |
金山 雅俊 産業医科大学, 医学部, 助教 (20813257)
米田 和恵 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (80724806)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 循環腫瘍細胞 / 肺癌 / CTC-chip / single cell / 次世代シーケンサー / 遺伝子解析 / 凍結PBMC |
研究実績の概要 |
循環腫瘍細胞(CTC)はがん微小転移の指標として、手術適応の決定や術前術後薬物療法実施の際等のバイオマーカーとして臨床的有用性が期待される。これまでに我々は、高感度CTC検出系の開発に取り組み、マイクロ流路システム(CTC-chip)を完成させた。この新開発CTC-chipは、CellSearchを超える高感度CTC検出システムであり、更に捕捉したCTCの分子生物学的解析が可能であることを特徴としている。このシステムを使用し、肺癌や悪性胸膜中皮腫において高効率にCTCを検出することが可能となり、捕捉したCTCがPCRベースで遺伝子変異の検出が可能であることを確認した。さらに、このシステム系を改良し、捕捉されたCTCを次世代シーケンサーを使用し、網羅的に変異解析が可能な系を構築した。 ただし、現行の系ではCTCの分離には、血液サンプルの採取後に迅速にCTC検出を行う必要があり、血液サンプルを固定できる採血管でも数日以内に行う必要があるため、処理できる検体の数に限りがあった。末梢血を密度勾配遠心して得られるPBMC分画には、CTCがエンリッチメントされていることがこれまでの知見で知られている。さらにPBMCはセルバンカーを用いて凍結保存できるため、検体の保存が可能である。ここで我々は、凍結PBMCサンプルからCTCを回収し、遺伝子解析につなげる方法の構築に取り組み、樹立に成功した。これにより、レトロスペクティブ研究、多施設研究におけるサンプル共有が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
凍結保存しているPBMCをサンプルとして、CTC-chipにて稼働し、捕捉したsingle cellよりDNAを抽出し、肺癌パネルを用いた包括的遺伝子変異解析を行えるようになった。また、肺癌患者の症例登録は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
構築したプロトコールを用いて、臨床検体における解析を実施し、循環腫瘍細胞の遺伝子解析の臨床的有用性について検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬の関係で残預金が発生した。こちらについては次年度以降の研究における試薬を中心とした経費として利用する予定にしている。また研究分担者に送付した分担者金については、その使用が一部であったため、研究分担者に残額が生じている。
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