研究課題/領域番号 |
22K08989
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研究機関 | 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
佐藤 卓 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 共同研究員 (90814541)
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研究分担者 |
田沼 延公 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 部長 (40333645)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肺がん / 代謝 / 腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
近年の免疫チェックポイント阻害(ICB)療法の成功により、腫瘍免疫の賦活化で、肺がんを治療できることが示された。しかし、i) 不応答症例の方がむしろ多いこと、ii) 耐性獲得がんの出現、などの大きな問題がある。本課題では、がん代謝という普遍性の高い特性をターゲットする“新規イムノセラピー”への展開に向けて、その基礎となるデータを収集することを目標として研究に取り組んでいる。 2022年度は、自然免疫シグナルについて解析するに当たり、その条件検討を行った、細胞に断片化dsDNAや人工dsRNAをトランスフェクションし、それら刺激に対する応答を、STING/RIG-I経路構成因子のリン酸化解析、qRT-PCR、ELISA等によって経時的にモニターした。これら検討の結果、実験に用いる細胞株の応答特性を把握することができた。SITNG活性化に重要なセカンドメッセンジャーcGAMPの細胞内レベルを測定する方法について検討し、良好な結果を得た。 また、代謝介入に用いる低分子阻害剤について、性能評価を行った。細胞を解糖系酵素PKM2活性化剤で処理すると、ワールブルグ効果が解消あるいは減弱することが報告されている。そこで、細胞を既知のPKM2活性化剤DASA10・TEPP46等で処理し、合理的な代謝応答が見られるかを検討した。予想に反し、DASA-10処理細胞の酸素消費の減少がみとめられた。また、生物学的な表現型の出現には、かなりの高濃度処理が必要になることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
メカニズム解明に向けた条件検討は当初想定にそってすすんだ。一方、低分子阻害剤を用いた代謝介入では、既報文献にあるような応答が得られなかった。それらを総合し、上記判断とする。
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今後の研究の推進方策 |
メカニズム解析については、条件検討の結果を受けてより精緻な計画を立て、実行していく。PKM2活性化低分子化合物に関しては、他のコンパウンドの採用を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
・消耗品費が当初想定よりも僅かに少なくすんだため ・次年度の消耗品費に上積みし、より迅速な計画進捗をねらう。
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