研究課題/領域番号 |
22K09002
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
春木 朋広 鳥取大学, 医学部附属病院, 准教授 (20529416)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肺高悪性度神経内分泌癌 / 分子標的治療 / 免疫療法 / PD-L1 / ポドプラニン |
研究実績の概要 |
本研究では、肺癌の中でも生物学的悪性度が高く予後不良とされる肺高悪性度神経内分泌癌(小細胞癌、大細胞神経内分泌癌)に対して、合成致死に基づく新規分子標的治療薬と免疫チェックポイント阻害薬を併用する治療がどのような効果を呈するか、また、治療に伴い腫瘍細胞や微小環境にどのような変化が起こるかについて明らかにしていくことを目的とした。2022年度、2023年度は、ASCL1、NEUROD1、POU2F3、YAP1の分子マーカーによるサブタイプが明らかになっている肺高悪性度神経内分泌癌完全切除症例121例に対して、腫瘍細胞及び間質細胞におけるPD-L1発現状況を免疫染色で確認した。また、間質細胞において腫瘍促進性または腫瘍抑制性に機能するポドプラニンについて、その蛋白発現状況を免疫染色で確認した。ポドプラニン,腫瘍細胞PD-L1,間質細胞PD-L1の陽性率は,それぞれ41.3%,16.5%,38.0%であった.ポドプラニンと間質細胞PD-L1発現の間には中程度の相関を認めた(rho=0.567, p<0.001).ポドプラニンと間質細胞PD-L1のいずれかが発現している群と、いずれも発現していない群の5年全生存率は69.6%と25.3%であった。多変量解析ではポドプラニンと間質細胞PD-L1いずれかの発現は有意な予後良好因子であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床検体である肺高悪性度神経内分泌癌完全切除例のFFPEブロックの収集について、関連施設からも集める必要が出てきたが、それが遅れた。免疫染色も自動免疫染色機の故障などのトラブルが何度かあり研究の実行が困難なことがあった。免疫染色検体やその他のデータ解析にも時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
肺高悪性度神経内分泌癌切除組織計121症例のPD-L1蛋白発現状況とポドプラニン陽性癌関連線維芽細胞との臨床病理学的因子の関連や生存解析を行う。さらに肺高悪性度神経内分泌癌の免疫療法耐性に関与する分子機構についての詳細を検討し、解析を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が当初の予定より遅れており、実験に必要な試薬や消耗品を購入する必要があるから。
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