研究課題
肺癌症例切除症例の腫瘍内浸潤リンパ球、所属リンパ節リンパ球、末梢血リンパ球を採取し、腫瘍特異的リンパ球と考えられているCD103+ CD39+ CD8 T細胞のpopulationをflow cytometryにて解析している。腫瘍特異的リンパ球が末梢血より所属リンパ節や腫瘍内に、より選択的に浸潤しているか。CD103+ CD39+ CD8 T細胞の浸潤が予後に影響を与えるかどうかを現在検証中である。また、切除肺癌組織を免疫不全マウスに移植し、所属リンパ節リンパ球、末梢血リンパ球をそれぞれマウスに投与し、肺癌組織の変化を確認している。さらに、免疫不全マウスにアテゾリズマブを投与し、効果の違いも確認している。
2: おおむね順調に進展している
肺癌手術にリンパ節郭清が応用されてきた歴史的背景について、文献をレビューし考察した。さらに、近年肺癌手術におけるリンパ節郭清が予後に及ぼす影響についても、文献を検索し、解析した。また、肺癌に対する免疫療法が確立した現在において、リンパ節郭清が及ぼす免疫学的影響についてレビューし、英語論文にNarrative Reviewとして報告した。
肺癌手術症例の新鮮ヒト肺癌組織を重度免疫不全マウス (NSGマウス) の皮下に移植し、同一症例の所属リンパ節リンパ球投与群、末梢血リンパ球投与群、コントロール群で比較している。リンパ節リンパ球内に腫瘍特異的リンパ球が選択的に多く存在するのであれば、リンパ節リンパ球投与群の肺癌組織の増大抑制を認める。特にリンパ節リンパ球存在下で腫瘍増大抑制を認めるようなら、リンパ節郭清により癌免疫応答の減弱をもたらす可能性が考えられる。同様に、新鮮ヒト肺癌組織移植NSGマウスモデルに、同一症例のリンパ節リンパ球投与群、末梢血リンパ球群、コントロール群を設け、ICI(テセントリク)を投与した。ICI(テセントリク)の効果にリンパ節リンパ球や末梢血リンパ球が及ぼす影響を検証している。リンパ節リンパ球存在下でICI効果が増強するようなら、リンパ節郭清によりICIの効果減弱をもたらす可能性が考えられる。末梢血、所属リンパ節、腫瘍内リンパ球それぞれからCD103+ CD39+ CD8 T細胞をsortingし、RT-PCR法により何種類のTCRタイプが存在するか解析する。どのくらいの種類の腫瘍特異的リンパ球がそれぞれのリンパ球に含まれているか比較解析する。
コロナ禍で症例集積に難渋したため。研究期間を1年延長することとで、研究を完結させる予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件)
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