いまだ有効な治療法が存在しない出血性ショック(hemorrhagic shock:HS)後の臓器障害に対して、これまで取り組んできた血管内皮グリコカリックス(EGCX)解析法を組み合わせ、ミトコンドリア由来の活性酸素種制御に注目した新規治療法の開発に挑む。 HS後の臓器障害の重症化は、血管透過性、血管の緊張度、凝固炎症を制御するEGCXが障害されることで起きる。その機序に活性酸素ストレスが関与し、その抑制により臓器障害を抑制、生存率改善を報告してきた。 ミトコンドリア由来の酸化ストレス制御メカニズムは十分解明されていないため、本研究ではミトコンドリアに固有に局在するカルジオリピンの酸化を特異的に抑制するペプチドSS-31(D-Arg-Dmt-Lys-Phe-NH2)によるEGCX保護作用を証明する。 本研究の目的は、HSモデルラットを用い、SS-31投与による微小循環に対する影響とEGCXに対する保護効果を検証し、その機序を明らかにすることでHSに対する新たな治療法を開拓することである。そして現在SS-31の投与したモデルを作成し、研究を行っている。
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