研究課題/領域番号 |
22K09025
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
渡辺 至 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (20534142)
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研究分担者 |
菅原 陽 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (00596413)
新井 悠介 横浜市立大学, 医学部, 助教 (30828554)
水野 祐介 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (80433192)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肺高血圧症 / 血管収縮薬 / 陽性変力変時作用薬 / 診療群分類包括評価 |
研究実績の概要 |
肺高血圧クライシス(PHC)は、急激な肺血管抵抗上昇から右心不全、循環虚脱に至る重篤な病態であるが、最適な薬剤療法は明らかではない。我々は肺高血圧クライシス動物モデルを世界で初めて確立し、救命、循環動態のリカバリーに対し、血管収縮薬vasopressinの有用性を報告してきた。本研究はこれを発展させ、肺高血圧に対して、陽性変力変時作用のあるβ-adrenergic刺激薬の効果を検証し、これまでの研究と統合し適切な薬剤療法を見出すことを目的とした。 肺高血圧クライシスモデルはモノクロタリン誘発肺高血圧ラットを低酸素に暴露することで誘導した。このモデルに対し、陽性変力変時作用薬であるドブタミンは循環動態のレスキュー、心臓超音波検査上の右心不全、生存期間等に対する効果の検討を行った。血管収縮薬vasopressin と比較し、ドブタミンは血圧維持、心拍出量維持、心臓超音波上の右心負荷改善が劣る結果であった。一方で、ドブタミンは肺高血圧クライシスに至らない肺高血圧モデルでは血圧、心拍出量を増加させた。 診療群分類包括評価を用いて、肺高血圧を伴う先天性心疾患の患者を抽出し、重症肺高血圧に対する各種薬剤のアウトカムの比較検討を行う。DPCから重症肺高血圧症を抽出し、使用した薬剤療法別に入院期間、ICU入室期間、人工呼吸器使用期間等を比較し、最終的に動物実験結果と合わせ、集学的に肺高血圧に対する研究手法やデータの頑健さを検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究から肺高血圧クライシスモデルを用いた血行動態の検討では、陽性変力変時作用薬や血管収縮薬に比べ、血圧維持、心拍出量維持、生存期間で劣ることが見出された。
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今後の研究の推進方策 |
モノクロタリン誘発以外の低酸素性等の肺高血圧動物モデルを用い、異なる病因における肺高血圧クライシスの病態と薬剤反応性、循環管理について更に検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
モノクロタリン誘発肺高血圧モデルを用いた評価は、これまでの結果の解析が進んだことから、これまでの結果を一度まとめて論文投稿することとし、これに主に注力した。このため、予定された実験動物用の予算と差が生じた。 次年度はモノクロタリン誘発肺高血圧モデルに加え、低酸素性肺高血圧モデルを用いた実験についても検討していく予定である。このため、新たにラット購入、飼育費用、各種血管作動薬等の試薬購入を行い、モノクロタリン誘発肺高血圧と同様にクライシスを生じさせたうえで、循環動態の管理についての検討を行う。
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