研究課題/領域番号 |
22K09034
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
小林 希実子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (70418961)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 一次知覚神経 / 痒み / 痛み / 炎症 / 脊髄後角 / 末梢神経障害 / 多重ISH-IHC法 |
研究実績の概要 |
痛みを引き起こすような刺激を侵害刺激といい、生体組織への侵害刺激には機械的刺激、熱刺激、冷刺激、化学的刺激がある。これらの刺激を伝える一次感覚線維を侵害受容器と呼ぶ一方、痒みを伝える一次感覚線維もまた、侵害受容を伝える無髄のC線維と共有している。痒み刺激が惹起されたときに爪で強く押さえたり、熱刺激や冷刺激などを加えると痒みが治まるが、やりすぎると痒みから痛みへとかわる感覚の変化の経験などから、痛み-痒みのクロストークがあると考えられる。しかしながらどの部位で、何によって痛み もしくは痒みが優位になるのかは未だ不明である。そのため一次知覚神経に発現する痛み受容体、痒み受容体の共存関係や痒み・痛みモデルにおける発現や共存関係の変化の検討を行うため、方法論の確立を目指した。 昨年度にひきつづき、SD雄性ラットの後根神経節(DRG)と脊髄の凍結切片を作成し、cRNAプローブを用いた高感度多重蛍光 in situ hybridization(ISH)法の方法を工夫し、二重in situ hybridization法においては最短3日で従来の方法よりも高感度に検出できる方法を確立した。しかしながら、やはり3重以上のmRNAの検出は難しく、感度が落ちたりノイズや非特異的シグナルが出やすくなった。そこで二重蛍光in situ hybridization法-蛍光免疫組織化学法を組み合わせて蛍光で三重染色が行える条件を検討した。一般的に行われる方法で蛍光免疫組織化学法をISH法と組み合わせて行うと、ISHの前処置やhybridizationにより蛍光が退色したり、検出感度が落ちてしまうが、新たな方法では検出感度を落とすこと無く、またISH法の検出にも影響を与えない条件で可視化ができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
体調不良により細かな作業ができず実験が困難な期間があったため、実験方法の条件検討のみに留まった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度も記載したが、皮膚に分布する一次感覚神経に焦点を絞り、さらに詳細に痛み・痒み関連受容体の共存関係を検討することで、受容体間の相互作用を明らかにする。 SD雄性ラットを用いて、逆行性トレーサーであるFluoro Goldを皮下に投与し皮膚感覚に関与するDRG neuronを同定した後にリガンドや受容体の共存関係を検討する。検討する受容体は小型-中型中心に発現する神経ペプチドやサイトカイン、受容体にしぼり、共存関係を検討する。Fluoro Goldの検出には蛍光免疫組織化学法を使用するが、通常の方法ではISHを引き続き行うと退色してしまうため上記で確立した新たな方法で免疫組織化学法後に二重蛍光ISHを行い検出する。各因子の共存関係やニューロンの大きさなどの計測を行い空間的な解析を進める。
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