研究課題/領域番号 |
22K09047
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
堤 保夫 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (90523499)
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研究分担者 |
里見 志帆 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (60778299)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 細胞膜マイクロドメイン / 吸入麻酔薬 / ミトコンドリア / MAM |
研究実績の概要 |
本研究は、心筋障害時における細胞膜マイクロドメインおよびミトコンドリアが接触する小胞体膜で、Mitochondria-associated ER membrane (MAM) と呼ばれる部分に対し、吸入麻酔薬がどのように作用するかを明らかにすることで、生命維持に重要なホメオスタシス機構の一端を解明することを目的とする。 まず、マウスin vivo 虚血再灌流モデルを用いて対照群、吸入麻酔群において心筋梗塞サイズを測定比較した。これは以前の報告と同様、全身麻酔、人工呼吸下に吸入麻酔薬イソフルラン(1.0 minimum alveolar concentration、30分の曝露)を前投与することによって心筋梗塞サイズが減少することを示した。また、カベオリン-3ノックアウトマウスを用い同様の実験を行い心筋梗塞サイズを測定し、カベオリン-3の影響を明らかにした。その結果、吸入麻酔薬の心筋保護作用がカベオリン-3ノックアウトマウスで棄却されることが明らかとなり、吸入麻酔薬の心筋保護作用がカベオリン-3を介して行われることが明らかになった。 次に、上記の各群の虚血再灌流を行った心臓をホモジナイズし、パーコール溶液を加え、超遠心分離(95,000×g、30分)をすることによってミトコンドリア画分を得た。その後これにMRB溶液(250 mM mannitol、5 mM HEPES、0.5 mM EGTA)を加え遠心(6,300×g、10分)することによって MAM層を得た。現在この MAM層に対しイムノブロットを行うことで Mfn-2などのタンパクが各群にどのように影響されるかを調査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に示した実験の進捗状況のとおり、マウスin vivo 虚血再灌流モデルを用いて対照群、吸入麻酔群において心筋梗塞サイズを測定比較する実験はほぼ終了している。また、各群の心臓を用い、吸入麻酔薬のカベオリン・MAMの影響を明らかにする実験に取り組んでいるため、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続き各群の心臓を用い、吸入麻酔薬のカベオリン・MAMの影響を明らかにする実験を行う。また、マウスの摘出心をランゲンドルフ酵素法にて灌流、得られた遊離心室筋細胞に対して通常培養液を「グルコースなし」のものに置き換え、1時間低酸素状況 (95%N2, 5%CO2) に曝露することで心室筋細胞に虚血状態をつくりだす。その後1時間通常の培養状態に戻すことで再灌流状態とする。吸入麻酔群では、イソフルラン1.0MACにて30分間刺激を与え、心筋保護作用を明らかにする。Methyl-β-cyclodextrin (MBCD) はコレステロール枯渇剤であり、カベオラの崩壊をもたらす。MBCDを前投与し、同様の実験を行なうことでカベオラの心筋細胞保護作用を明らかにする。
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