研究課題/領域番号 |
22K09053
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
渡邊 真理子 東海大学, 医学部, 講師 (60609220)
|
研究分担者 |
吉川 正信 東海大学, 医学部, 准教授 (90276791)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 脊髄 / NMDA受容体 / グルタミン酸 / ダイノルフィン / Dセリン |
研究実績の概要 |
神経障害性疼痛、炎症性疼痛などの慢性疼痛時の脊髄においてダイノルフィンA (Dyn)量が増加することが知られている。しかし、脊髄内Dyn量増加による慢性疼痛発症メカニズムは不明である。これまでに申請者らは、(1)高用量Dynをラット脊髄内投与すると疼痛を示すこと、(2)Dyn代謝物を脊髄内投与して生じる疼痛はintactなDynと比べて弱いこと、(3)Dynをラット髄腔内に投与して生じる疼痛はNMDA受容体グリシン結合部位アンタゴニストにより拮抗されること、(4)D-セリン髄腔内投与により疼痛を示すこと、などを明らかにした。D-セリンはNMDA受容体グリシン結合部位の内在性リガンドとしてNMDA受容体活性を調節する。前年度に行った、Dynなどのオピオイドペプチドを極めて高感度な電気化学検出器とHPLC法を組み合わせた新たな検出法の検証を行った。その結果、ダイアモンド電極を用いた電気化学検出器でメチオニンエンケファリンを定量分析することが再現性よく行うことを明らかにした。この手法を用いて、脊髄内ダイノルフィンの検出が可能であることが示唆された。 マイクロダイアリシス法により脊髄後角における細胞外液を回収し、L-グルタミン酸、L-セリン、D-セリンの定量法について検討した。Freund's Complete Adjuvantを後肢足蹠の皮下に注入し作成した持続性炎症疼痛モデルラットの脊髄内にマイクロダイアリシスプローブを挿入し、脊髄後角細胞間隙中の神経伝達物質を回収した。ホルマリン刺激により慢性疼痛の発症時(投与10分後まで)にはNMDA受容体アゴニストのLグルタミン酸遊離量が増加し、維持期(投与30分以後)にはDセリン遊離量が増加することが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロダイアリシス法により脊髄後角における細胞外液を回収し、L-グルタミン酸、L-セリン、D-セリンの疼痛刺激時の遊離量変化を明らかにした
|
今後の研究の推進方策 |
脊髄後角におけるダイノルフィンの遊離量と疼痛についての関連性を明らかにする予定である
|
次年度使用額が生じた理由 |
ダイノルフィン定量用のELISA Kitが欠品中のため、一部実験を実施できなかったため。次年度は残金と2024年度直接経費を使用して当初の計画に従ってダイノルフィンに関する実験を遂行する計画である。
|