研究課題/領域番号 |
22K09054
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
松本 りか 東京医科大学, 医学部, 臨床助教 (80933994)
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研究分担者 |
鈴木 直樹 東京医科大学, 医学部, 助教 (40934592)
川原 玄理 東京医科大学, 医学部, 准教授 (40743331)
林 由起子 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (50238135)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | PRIS / プロポフォール / 骨格筋障害 / ゼブラフィッシュ / 薬剤スクリーニング |
研究実績の概要 |
プロポフォールは現在最も汎用されている麻酔薬であるが、長期高容量投与により、横紋筋融解症などを示す致死率の高いプロポフォール注入症候群(propofol infusion syndrome)を生じる。PRISの詳細な発症機序は未だ明らかとなっていない。 本研究はゼブラフィッシュ稚魚および成魚をプロポフォール溶液内で飼育し、プロポフォールの骨格筋にもたらす影響を調べることでPRISの発症機序を解明するとともに、骨格筋障害を緩和する薬剤スクリーニングを行うことによって麻酔科領域におけるプロポフォール使用の安全性と信頼を高めることを目的とする。 受精後4日目のゼブラフィッシュ稚魚を125 μMのプロポフォール溶液内にて3時間飼育すると、偏光レンズ下での観察により骨格筋障害を確認した。また、抗ミオシン重鎖抗体で免疫染色を行なったところ、骨格筋線維が乱れていることを確認した。 プロポフォールによる骨格筋障害を抑制する薬剤を特定するため、PRISのゼブラフィッシュモデルを用い、LOPAC1280薬理活性化合物ライブラリー(Sigma Aldrich社)を用いた薬剤スクリーニングを行った。その結果、26種類のプロポフォールによる骨格筋障害を抑制する薬剤を特定した。 プロポフォールがミトコンドリアの機能に障害をもたらし、細胞内アデノシン三リン酸(ATP)レベルの低下と並行し、細胞内Ca2+濃度を上昇させることで、筋細胞障害につながる可能も指摘されている。骨格筋障害の原因検索のため、ミトコンドリアの機能を中心にリアルタイムPCRやウェスタンブロットを行っている。 また、筋細胞内Ca2+濃度の上昇で蛍光強度が増強するゼブラフィッシュ系統を用いて、プロポフォール投与によりCa2+濃度が上がっているか、そのことが骨格筋障害につながっているのか検索を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の研究計画はゼブラフィッシュ稚魚に対するプロポフォールの影響について調べ、PRISの治療薬特定のための薬剤スクリーニングを行うことであった。 受精後4日目のゼブラフィッシュ稚魚を125 μMのプロポフォール溶液内にて3時間飼育すると、偏光レンズ下での観察により骨格筋障害を確認した。また、抗ミオシン重鎖抗体で免疫染色を行なったところ、骨格筋線維が乱れていることを確認した。 プロポフォールによる骨格筋障害を抑制する薬剤を特定するため、PRISのゼブラフィッシュモデルを用い、LOPAC1280薬理活性化合物ライブラリー(Sigma Aldrich社)を用いた薬剤スクリーニングを行った。その結果、26種類のプロポフォールによる骨格筋障害を抑制する薬剤を特定した。 なぜプロポフォール投与によって骨格筋障害が起こるのかの解明には至っていないが、PRISの治療薬剤特定のためのドラッグスクリーニングは終了し、26の候補薬の特定が終了しているため、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の問いは4つである。①なぜプロポフォールは横紋筋融解症を引き起こすのか。②なぜPRIS発症に年齢差があるのか。③なぜプロポフォールの繰り返し投与で薬剤感受性が亢進するのか。④PRISの治療薬剤はなにか。 令和4年度に作成したPRISのゼブラフィッシュモデルを使用してリアルタイムPCRおよびウェスタンブロット、免疫染色などを行い、本研究の問いである①~④を解明していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はPRISの骨格筋障害を抑制する薬剤を探索するために、薬剤スクリーニングを行い、26種類の候補薬を見出した。薬剤購入が次年度になってしまったため、次年度使用が生じた。しかし、概ね研究計画書通りの予算を使用している。 次年度は候補薬の購入や、PRISの骨格筋障害の発症メカニズムの解明および、PRISの治療候補薬の骨格筋障害への影響を調べるために、リアルタイムPCRやウェスタンブロット、免疫染色などを行なっていく予定である。プライマーなどの試薬や抗体を購入する。
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