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2023 年度 実施状況報告書

脳死ドナーの臓器保護戦略 医療ガスを用いての検討

研究課題

研究課題/領域番号 22K09058
研究機関関西医科大学

研究代表者

岩崎 光生  関西医科大学, 医学部, 講師 (80528365)

研究分担者 上林 卓彦  関西医科大学, 医学部, 教授 (10273640)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード脳死 / 医療ガス / 臓器保護
研究実績の概要

9週齢のSDラットをセボフルランの吸入で緩徐導入した後に気管切開・人工呼吸した。頸動脈と頸静脈に24Gのカニューラを挿入して動静脈ラインを確保した。次に頭蓋内に4FrのFogarty catheterを挿入した。開胸して心尖部より左心室に圧カテーテルと容量カテーテルを挿入し、左心室のPV loopを描出した。その後、頭蓋内に留置したバルーンを膨らませることで脳死を導入した。
100%酸素投与群では、脳死から240から360分の間に心機能が低下して心停止に至る結果が得られた。収縮期血圧、左室駆出率、dp/dt maxが徐々に低下していき、脳死360分後には約50%が心停止となった。
30%酸素投与群では、脳死導入直後に右心不全を起こして心停止を起こすため、バルーンの量減らすことで脳死導入直後の心停止を減らすことができた。
30%酸素投与群は脳死360分後に83%が心停止となった。
今後は希ガス(キセノン・ヘリウム)や水素、硫化水素を吸入させた場合の循環動態のデータを採取する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

100%酸素投与下で脳死を導入する時は、バルーン0.7mlで脳死が完成し、緩徐に心不全となった。360分間での血圧、左室駆出率、dp/dt maxを評価することができた。
30%酸素投与下で脳死を導入すると、右心不全が原因と考えられるショック状態となり、血行動態を評価する前に心臓が停止した。バルーンを膨らませる容量を減らすことで急激な心停止を減らすことが可能になり、脳死後360分間の循環動態を評価できるようになった。
次年度は30%酸素に希ガス、水素、硫化水素を混合して、それぞれのガスの心機能保護を評価する予定である。

今後の研究の推進方策

希ガス(キセノン・ヘリウム)、水素、硫化水素を吸入させることで、脳死導入後の血圧、左室駆出率、dp/dt maxの変化を測定する。
今回、酸素濃度を低下させると脳死後の急速な心不全が発生したことから、一酸化窒素を投与して右心不全を軽減することで心機能が保護できると考えている。そのため、一酸化窒素を投与したラットでも血行動態を測定する予定である。
また、各種ガスを吸入させた脳死ラットにアドレナリン10μg/kgを静脈内投与し、誘発される不整脈の種類・頻度を比較する。
心機能保護、抗不整脈作用をしめしたガスについて、左心室の心筋組織を採取し、炎症細胞の浸潤を観察することで心筋に発生している炎症の程度を評価する。また、ウエスタンブロッティングを行い、PI3kinase-Akt経路に関わるタンパク質の発現・リン酸化を定量する。コントロール群と比較することで各種ガスの心筋保護に関与するメカニズムを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

心機能測定用の圧カテーテル・容量カテーテルを再利用できたため、その分を次年度に繰り越すことができた。
カテーテルは消耗品であり、破損した場合は新規に購入する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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