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2024 年度 実施状況報告書

脳死ドナーの臓器保護戦略 医療ガスを用いての検討

研究課題

研究課題/領域番号 22K09058
研究機関関西医科大学

研究代表者

岩崎 光生  関西医科大学, 医学部, 講師 (80528365)

研究分担者 上林 卓彦  関西医科大学, 医学部, 教授 (10273640)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード脳死 / 医療ガス / 臓器保護
研究実績の概要

9週齢のSDラットに対し、セボフルラン吸入下で緩徐導入後に気管切開・人工呼吸管理を施行し、頸動脈・頸静脈へ24Gカニューラを挿入して動静脈ラインを確保した。さらに、頭蓋内に4FrのFogartyカテーテルを留置後、開胸して心尖部より左心室に圧カテーテルおよび容量カテーテルを挿入し、左心室の圧容量曲線(PV loop)を描出した。その後、頭蓋内バルーンの膨張により脳死を導入した。
30%酸素投与下で実験を実施したところ、脳死導入直後に右心不全により心停止をきたす例が多数認められたが、30分ごとの肺膨張操作により脳死直後の心停止発生率を低下させることができた。30%酸素環境下で脳死後の循環動態を測定した結果、脳死後に血圧、左室駆出率、およびdp/dt maxが徐々に低下し、脳死360分後には約50%の個体が心停止に至ることを確認した。
現在、一酸化窒素、希ガス(キセノン・ヘリウム)や水素、硫化水素吸入による脳死後循環動態への影響について、さらにデータ取得を進めている。

現在までの達成度
現在までの達成度

4: 遅れている

理由

現在までに、脳死後30分ごとに血圧、左室駆出率、およびdp/dtmaxを測定し、コントロール群のデータを収集している。
しかしながら、30%酸素投与下で脳死を導入した場合、右心不全に起因すると考えられるショック状態が多発し、血行動態の評価前に心停止に至る例が多数認められたため、データ取得に難渋し、研究の進行が遅れている。
そこで、30分ごとに肺を膨張させる操作を追加することで無気肺を軽減し、脳死直後の急性心停止の発生を抑制することが可能となった。この結果、脳死後360分間にわたる循環動態の評価が可能となった。
次年度以降は、30%酸素環境下に一酸化窒素、希ガス(水素、ヘリウム)または硫化水素を混合吸入させ、それぞれのガスによる心機能保護効果を評価する予定である。

今後の研究の推進方策

一酸化窒素、希ガス(キセノン、ヘリウム)、水素、硫化水素を吸入させた脳死ラットにおいて、脳死導入後の血圧、左室駆出率、dp/dt maxの変化を測定する予定である。
酸素濃度を低下させると脳死後に急速な心不全が発生することが確認された。このことから、一酸化窒素を投与することで右心不全を軽減し、心機能の保護が得られる可能性があると考えられる。そこで今後は、一酸化窒素を投与したラットにおいても血行動態を測定し、その効果を検討する予定である。
さらに、各種ガスを吸入させた脳死ラットに対してアドレナリン(10 μg/kg)を静脈内投与し、誘発される不整脈の種類および頻度を比較評価する。
心機能保護効果や抗不整脈作用を示したガスについては、左心室心筋組織を採取し、炎症細胞の浸潤を観察することで心筋における炎症の程度を評価する。また、ウエスタンブロッティング法を用いて、PI3K-Akt経路に関連するタンパク質の発現量およびリン酸化率を定量し、コントロール群と比較することにより、各種ガスが心筋保護に関与するメカニズムを明らかにする予定である。

次年度使用額が生じた理由

心機能測定用の圧カテーテル・容量カテーテルを再利用できたため、その分を次年度に繰り越すことができた。
カテーテルは消耗品であり、破損した場合は新規に購入する予定である。

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公開日: 2025-12-26  

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