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2023 年度 実施状況報告書

サイトカインストームに関連した肺炎症機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K09060
研究機関産業医科大学

研究代表者

王 鐸  産業医科大学, 産業生態科学研究所, 産業医学基礎研究医員 (70899351)

研究分担者 吉田 安宏  産業医科大学, 医学部, 准教授 (10309958)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード好中球 / 粒子状物質 / 炎症
研究実績の概要

以前、申請者らはマウスに粒子を気管内投与することで肺炎症モデルを構築している。本年度はより生体内のサイトカインと活性酸素の関連を調べるために、このモデルを用いて検討した。粒子として、一年間を6期に分けて採集したPM2.5を用いた。これらを以前と同様にBALB/cマウスに気管内投与(100μg/マウス)し、24時間後に気管支肺胞洗浄液(BALF)を回収した。その肺胞洗浄液中のサイトカイン量と、活性酸素種のレベルを測定し、その関連について解析した。サイトカイン(IL-6, TNF-α, IL-1αなど)量はELISA法にて、活性酸素種レベルはDCFHで染色した細胞における蛍光強度をプレートリーダーで測定することで評価した。
先ず、6種類のPM2.5は、肺胞内の細胞(BAL)数を増加させた。このことは、いずれのPM2.5も、肺に炎症を起こしていることを示唆している。投与によって、CD11b陽性でF4/80陰性の細胞(好中球と予想される)が増加していた。加えて、PM2.5の投与によりROS産生が増加していることが判明した。この肺炎症を起こしているマウス肺胞洗浄液中のIL-6、TNF-α量を測定したところ、全てのPM2.5の投与によりサイトカインが検出された。特に、2月から3月にかけて収集したPM2.5は、サイトカイン産生誘導能が高かった。これらのサイトカインとROSの産生との関係を調べると、興味深いことに負の相関がみられた。一方、炎症性サイトカインの一つであるIL-12は、PM2.5の投与により産生が認められたものの、ROSとの関係はIL-6などで見られたものとは異なった正の相関であった。このことは、サイトカインがROSの産生を制御する何らかの機構に関与していることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年の計画通り、内因性物質の関与を現在調べていることころであるが、粒子状物質 (PM)をマウスに気管内投与するモデル構築は進んでいるため。

今後の研究の推進方策

粒子状物質 (PM)およびその他の炎症性物質をマウスに気管内投与するモデルには進んでいる。PMによる炎症の誘発における活性酸素種(ROS)と炎症マーカー(NF-κB)について、内因性物質の関与を含め検討する。

次年度使用額が生じた理由

種々試薬などの単価が上がったため、次年度の使用計画を少し見直し、予定していた抗原などの購入を次年度にずらすことで、一定の金額を確保したため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] ATP Consumption Is Coupled with Endocytosis in Exudated Neutrophils2023

    • 著者名/発表者名
      Duo Wang, Zirui Zeng, Mengyue Shen, Ryuji Okazaki, Hironori Miyata, Tomo Yonezawa, Yasuhiro Yoshida
    • 雑誌名

      Int J Mol Sci.

      巻: 24 ページ: 9039

    • DOI

      10.3390/ijms24109039.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 酸化ストレスとサイトカイン産生の視点からみる季節によるPM2.5の生体影響変化2024

    • 著者名/発表者名
      王 鐸, 奥田 知明, 吉田 安宏
    • 学会等名
      第15回大気バイオエアロゾルシンポジウム
  • [学会発表] 認知症の病態解明を目指した分化炎症性ミクログリア様細胞の調整法確立と炎症阻害剤の探索2023

    • 著者名/発表者名
      王 鐸, 先成 裕介, 岡﨑 龍史, 吉田 安宏
    • 学会等名
      第41回産業医科大学学会総会

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公開日: 2024-12-25  

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