研究課題/領域番号 |
22K09063
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鎌田 ことえ 東北大学, 大学病院, 助教 (60339033)
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研究分担者 |
山内 正憲 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00404723)
杉野 繁一 東北大学, 大学病院, 講師 (00423765)
城戸 幹太 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (40343032)
萩平 哲 関西医科大学, 医学部, 教授 (90243229)
村上 徹 東北大学, 大学病院, 助教 (90756248)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 疼痛 / 脳波 |
研究実績の概要 |
“痛み”は生体に対する警告信号ともいえる,不快な感覚のひとつである.それが極めて主観的な感覚量であることから,痛みの大きさや強さを正確に表現すること,すなわち疼痛レベルを定量化することは極めて困難だとされてきた.しかし疼痛レベルの定量的評価は,患者の状態(不快度)を知る重要な手段であり,治療法を選択するにあたって非常に有用であると考えられる. そこでわれわれは,末梢に入力され,疼痛伝達経路を経て最終的に疼痛を認知する1次体性感覚野(S1)で記録される局所の脳波に着目し,本研究を開始した.われわれのプロジェクトの最終目標は,疼痛モニター開発のために手術中のS1における脳波ガンマ振動と術後痛との関連性を明らかにすることである.まず2022年度は,健常成人ボランティアを対象として,侵害受容刺激に対するS1での脳波ガンマ振動の特性変化や,疼痛認知閾値の個体差とS1脳波ガンマ振動との関連性を検討するべく準備を進めた.けれどもCOVID-19パンデミックと重なり,ボランティアと研究者が密閉空間で長時間にわたる接触を持つことは好ましくないと考えられたため,実際には研究環境の整備に注力するにとどまっている.周辺環境からの電気干渉のない研究空間を整備し,倫理的に許容されうる疼痛刺激の種類と強度の探索が主な成果である.また学内倫理委員会への申請も進めているため,わずかではあるが,2023年度に向けて確実な研究基盤を築くことができたものと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当施設において,当該課外に類似する研究は初の試みとなる.環境整備に時間を要していることが,最も大きな要因であると考える.
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今後の研究の推進方策 |
まずは,健常ボランティアにおける侵害受容刺激に対するS1での脳波ガンマ振動の特性変化や,疼痛認知閾値の個体差とS1脳波ガンマ振動の関連の検討をすすめる.そして,手術患者における術中のS1脳波ガンマ振動特性と術後痛の個体差の関連を検討できるよう準備を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
本プロジェクトは,ボランティアと研究者が直接接する時間がながい.COVID-19の関係で研究体制の確立が叶わなかったことが,次年度使用額が生じた最大の理由であると考える.COVID-19も収束したため,次年度は本格的なボランティアスタディを開始できるものと期待している.
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