研究課題/領域番号 |
22K09070
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
渡辺 知幸 広島大学, 病院(医), 寄附講座助教 (10897911)
|
研究分担者 |
三好 寛二 広島大学, 病院(医), 講師 (50645364)
堤 保夫 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (90523499)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 悪性高熱症 / ジヒドロピリジン受容体 / 遺伝子変異 / リアノジン受容体 |
研究実績の概要 |
悪性高熱症の原因の一つとして、リアノジン受容体の遺伝子変異が指摘されてきた。近年、リアノジン受容体以外の遺伝子が悪性高熱症の原因となっている可能性が指摘されている。現在標準的に行われている悪性高熱症の機能解析の方法では、リアノジン受容体の遺伝子変異の機能解析は可能であるが、その他の遺伝子の機能解析を行なうことはできない。本研究では、リアノジン受容体以外から発見された遺伝子変異が悪性高熱症の原因であるか否かを確認するための、ノックインマウスを用いた機能解析実験系を確立する。 ヨーロッパ悪性高熱症グループのガイドラインには、原因となる遺伝子変異は、リアノジン受容体 (RYR1) の遺伝子変異とジヒドロピリジン受容体 (DHPR)の遺伝子変異が報告されている。現在、RYR1の遺伝子変異48か所、DHPR (CACNA1S) の遺伝子変異2か所が認定されている。 CACNA1SのDNA 配列情報を認識するgRNA を設計する。設計はCRISPR Design Toolを用いておこなった。Cas9は、T7 プロモーター下Cas9 発現プラスミドを用いてCas9 mRNA を合成、ドナーDNA には、一本鎖オリゴヌクレオチ (ssDNA) もしくはDNA プラスミドを使用した。トランスフェクション溶液は、50-100 μg/mL Cas9mRNA、25-50 μg/mL gRNAおよび25-50 μg/mL ssDNAになるようRNase free waterで調製、このプラスミドを用いて、CACN1Sの悪性高熱症原因遺伝子変異(S879P)を持ったノックインマウスの受精卵を作成依頼し、ノックインマウスを作成することができたため、これを繁殖させることで今後の悪性高熱症発症実験などに利用することが可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CACN1Sの悪性高熱症原因遺伝子変異を持ったノックインマウスを作成することができ、今後このマウスを用いた研究を進めるため、記載の研究計画書の通り、おおむね順調に進展しているものと思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
CACN1Sの悪性高熱症原因遺伝子変異を持ったノックインマウスを用いて、悪性高熱症の発症実験を行う。 マウスをペントバルビタール麻酔後、人工呼吸 (TOPO ventilator: Kent Scientific社) を行う。体温、血行動態を測定 (PowerLabシステム: ADInstruments社) しながら、吸入麻酔薬イソフルランを加える。ノックインマウスおよびLittermateマウスの体温変化などを測定、比較検討する。MHが発症後、ダントロレンを投与しその効果について同様に検討する。
|