研究課題/領域番号 |
22K09086
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
下山 修司 弘前大学, 医学研究科, 助教 (60736370)
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研究分担者 |
三木 康生 弘前大学, 医学研究科, 助教 (30709142)
古川 智範 弘前大学, 医学研究科, 助教 (60402369)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | GABA受容体 / ジアゼパム / ベンゾジアゼピン系化合物 / パルミトイル化 / 薬剤耐性 |
研究実績の概要 |
パルミトイル化予測ツールを用いた結果、当初標的としていたβ3サブユニットのシステイン残基(C313)だけではなく、別のシステイン残基(それぞれC23及びC24)もパルミトイル化される可能性が示唆された。これを踏まえ、これらのシステイン残基をアラニンに置換した変異体を作製し、その細胞内局在を解析した。その結果、C23とC24でも細胞膜での発現が著しく減少しており、チャネルとしても機能できないことがわかった。一方、C313変異体では、細胞膜での発現が低いもののチャネルとして機能できていることがわかった。しかしながら、GABAに対する感受性が著しく減少していたことから、C313は細胞内の局在だけではなく、チャネル特性にも関与していることが示唆された。また、これらのシステイン残基はタンパク質の立体構造に重要なジスルフィド結合とは関係がなく、AlphaFold2による構造予測を行っても野生型とはほとんど差がないため、変異体によるコンフォメーションの変化は最小限度であると考えられる。そのため変異体の分布と機能の変化は、パルミトイル化されなくなった結果だと言える。 以上の結果より、GABA受容体のβ3サブユニットはパルミトイル化されることで、細胞膜に発現して、受容体として機能することが示唆された。今後は、細胞膜に移行せずに細胞内のどこに蓄積しているのか、パルミトイル化に関わる酵素の同定を行うとともに、これらの結果が細胞レベルではなく個体でも起きている現象なのか、を明らかにしていく。これらの研究を推進することで、細胞膜における発現低下を原因とするベンゾジアゼピン系化合物の効果減弱メカニズムを明らかにすることができ、効果が減弱しない薬剤の開発に繋げることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本来予定していたパルミトイル化部位だけではなく他の部位の変異体の解析も行ったため、複数の観点から研究を進められた。当初の予定とは異なるが、多くのデータが得られたことから、概ね順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定した部位以外でもパルミトイル化されている可能性が示唆され、これらの変異体が細胞膜での発現低下を引き起こしたり、チャネル特性の変化を引き起こしていることを見出した。今後は当初の予定通り、細胞膜に到達せずに細胞内のどこに蓄積しているのか、またパルミトイル化を引き起こしている酵素を同定する予定である。
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