研究課題/領域番号 |
22K09094
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松岡 義和 岡山大学, 大学病院, 助教 (20509434)
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研究分担者 |
荒川 恭佑 岡山大学, 大学病院, 助教 (90713751)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 化学療法誘発性末梢神経障害 / 筋膜 / ヒアルロン酸 |
研究実績の概要 |
抗癌剤による末梢神経障害(化学療法誘発性末梢神経障害 Chemotherapy-induced peripheral neuropathy, CIPN)はガン治療上重要な問題であるが有効な治療法はない。そこで本研究はCIPNの治療法の開発につながる病態の解明を目的とする。 CIPN患者の一部では感覚障害だけでなく巧緻運動障害も示すことから、申請者らは筋膜の機能不全がCIPNの病態に関与していると考えた。本研究は筋膜がCIPNの新たな治療ターゲットとなり得るかについて、動物モデル、初代培養細胞を用いて検討することを目的とする。 初年度はCIPNモデルラットを作成し、RT-PCR法により筋膜内のmRNA発現定量、免疫染色を行った。動物は5週齢雄性Sprague Dawley (SD)ラットを用いて、ビンクリスチン(VCR)腹腔内注射によりCIPNモデルを作成した。von Frey testにより、両後肢足底の機械刺激に対する疼痛閾値が低下することを観察した。このことからCIPNモデルが作成できていることが示されている。その後両下腿から筋膜を摘出した。組織からmRNAを抽出し定量RT-PCRを行ったところ、3種類のヒアルロン酸合成酵素HAS1、HAS2、HAS3ともに発現が減少していた。免疫染色ではヒアルロン酸合成酵素HAS2強陽性細胞数の減少を認めた。アルシアンブルー染色によりヒアルロン酸を含むムコ多糖類を染色したところ、細胞外ムコ多糖類の減少は定量できないが、アルシアンブルー強陽性を示す細胞質をもつ細胞数の減少を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備実験データからの仮説通りにCIPNモデルにおいてヒアルロン酸発現が減少することを確認できている。
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今後の研究の推進方策 |
CIPNモデルにおいてヒアルロン酸合成の障害が起きていることを初めて確認した。今後はCIPNモデルにみられる疼痛閾値の低下にヒアルロン酸の合成障害が関与していることを示す。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬類が予定よりも少なく実験できたためわずかに残額が生じた。 今後の使用計画としては、次年度実施予定の細胞培養実験の解析に必要な費用等に充当する。
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