研究課題/領域番号 |
22K09095
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
神崎 理英子 広島大学, 病院(医), 寄附講座助教 (70751402)
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研究分担者 |
三好 寛二 広島大学, 病院(医), 講師 (50645364)
堤 保夫 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (90523499)
大月 幸子 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (90774018)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 悪性高熱症 / 遺伝子解析 / STAC3 / TRPV1 / RYR1 / CACNA1S |
研究実績の概要 |
MHを発症した患者や家族の筋サンプル10検体を用いて筋管細胞を培養し、細胞内Ca2+動態を測定した。また、筋管細胞の性質を確認するために、RYR1のアゴニストであるカフェイン、クレゾールをそれぞれ負荷し、反応から50%効果濃度を導き出した。 反応の見られたサンプル患者7人の血液からDNAを抽出した。抽出したDNAについて、RYR1およびCACNA1Sの遺伝子スクリーニングを行った。認めたRYR1およびCACNA1Sのvariantについて、bioinformaticsに基づいたプログラム(SIFT、MutationTaster、Polyphen-2等)を用いて病原性について評価を行い、原因遺伝子である可能性について検討を行った。1人のサンプルでRYR1にMHの原因遺伝子としてEMHG(European Malignant Hyperthermia Group)に既に認められているvariantを認め、1人のサンプルでEMHGにはまだ認められていないものの原因遺伝子である可能性が高いvariantを認めた。 RYR1とCACNA1Sに明らかな原因遺伝子を認めなかった5人のサンプルについて、STAC3およびTRPV1の遺伝子スクリーニングを行ったところ、これらのサンプルの中にはMHの原因遺伝子となりそうなSTAC3およびTRPV1のvariantを認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ある程度予測はされたことだが、MHは発生頻度が少なく、MH発症者やその家族から得られるサンプル数が少ないため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、MH素因について検査依頼や相談があったMH患者やその家族などで同意が得られたものについて適宜検査を行い、RYR1およびCACNA1Sについて明らかな原因遺伝子を認めない症例でSTAC3およびTRPV1についてvariantを調べる。Variantを認めれば、プログラム(SIFT、Mutation Taster、Polyphen-2等)を用いて病原性について評価を行い、MHの原因遺伝子である可能性について調査する。 今後、症例数が増えれば、日本人におけるMH原因遺伝子としてのSTAC3およびTRPV1の存在の有無や割合を明らかにすることができる。また、病原性が高いと評価されMH原因遺伝子であると考えられるvariantについては、さらに機能評価を行うことで原因遺伝子として確定することが期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
遠心機を購入予定であったが、DNA抽出の際に使用するキットを少量用のものに変更することで、現有の遠心機で実験可能となった。また、STAC3やTRPV1のvariantが見つからず、variantの存在確認のためのサンガーを行わなかったため、試薬の費用などが掛からなかった。 次年度は、悪性高熱症関連遺伝子検査希望者も加えて、RYR1とCACNA1Sのスクリーニングを行い、variantが見つからない場合には、STAC3とTRPV1の検索を行う予定である。
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