研究課題/領域番号 |
22K09102
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
吉川 正信 東海大学, 医学部, 准教授 (90276791)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 唾液腺 / マイクリダイアリシス / 神経伝達物質 |
研究実績の概要 |
唾液腺から採取したホモジネート中のモノアミンの含有量は、これまでの研究で明らかになっている。しかし、ホモジネート中のモノアミンは、細胞内に貯蔵されているものと、間質液中に遊離されるものがある。これまで、唾液腺内の自律神経活動を直接モニターすることは難しく、唾液腺内の神経伝達物質放出と唾液分泌の関係については解析されていなかった。マイクロダイアリシスを唾液腺に適用し、モノアミンをモニターすることに成功した。モノアミントランスポーター阻害を作用機序として知られる三環系抗うつ薬イミプラミンによるラットの顎下腺内の間質液中のモノアミンの含有量に及ぼす影響について検討した。すなわち、マイクロダイリシスプローブを介してイミプラミンを還流し、得られた透析液をHPLC-電気化学検出器にて定量分析した。その結果、以下のことが明らかになった: (1)唾液腺マイクロダイアリシスにより、ノルエピネフリンとセロトニンを検出できるが、エピネフリンとドーパミンは検出できないこと、(2)透析液中のこれらの濃度は、プローブ装着後120分間は非常に不安定であるが、その後ほぼ安定したレベルに達すること、(3)イミプラミンを灌流すると透析液中のノルエピネフリンとセロトニン濃度は有意かつ用量依存的に上昇すること。これらの結果は、本マイクロダイアリシス法が唾液腺内の交感神経活動の変化を検出するための強力なツールであることを示すものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の結果は、唾液腺マイクロダイアリシス法が唾液腺内の交感神経活動の変化を検出するための強力なツールであることを示すことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は、モノアミントランスポーターとして知られる三環系抗うつ薬あるいは鎮痛薬とラマドールによるラットの顎下腺内の間質液中のモノアミンの含有量に及ぼす影響について検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による研究資材供給不足により実施できなかった実験を次年度実施する予定である。
|