研究課題/領域番号 |
22K09146
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
東條 健太郎 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80737552)
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研究分担者 |
杉浦 悠毅 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (30590202)
高木 俊介 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (90644823)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 好中球 / 免疫代謝 / 敗血症 |
研究実績の概要 |
本研究では,免疫系細胞が代謝パターンの変化を介して細胞機能を制御していることがわかってきたことを踏まえ,好中球が様々なエフェクター機能を行使するのにあたり,どのような制御機構で,どのように代謝パターンを変化させているのか解析し,敗血症における代謝機能障害を明らかにした上で,敗血症の治療標的を同定することが目的である。 2022年度には,ラット好中球を用いて遊走因子であるf-MLP,活性化因子であるPMA刺激時の代謝パターンの変化について代謝フラックスアナライザーを用いて解析をした。f-MLP刺激では,解糖系の指標であるExtracellular Acidification Rate(ECAR)の増加が見られた一方で,PMA刺激時にはECARに加えてOxygen Consumption Rate(OCR)の著名な増加が見られた。このOCRの増加はミトコンドリアではなく,ペントースリン酸経路からNADPHオキシダーゼを介した呼吸バーストに伴う変化だと考えられた。上記から,好中球の遊走時と活性化時には異なる代謝パターンが観察されることが示唆された。 上記の結果を踏まえ,今後いくつかの好中球に対する刺激因子を組み合わせる,あるいは段階的に刺激をすることによって,遊走,呼吸バースト,脱顆粒,Neutrophil Extracellular Trapsの形成などのエフェクター機能毎に,どのような代謝パターンを示すのか,さらなる検討を行ない,機能毎にキーとなる代謝経路の同定を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い,それに関連する研究業務を行う必要があったため,本研究課題の進行がやや遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
好中球についてはより簡便なカゼイン誘導性の好中球を用いることとし,前年度の結果を踏まえ,刺激物質を組み合わせた実験系を用いて,各種エフェクター機能に対応する代謝パターンについて解析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度には2種類の刺激物質による代謝パターンの変化を解析したものの,包括的な解析までは行なうことができなかったため,次年度使用額が生じた。 次年度により包括的な刺激による代謝パターン解析を行なうのに使用する予定である。
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