研究課題/領域番号 |
22K09151
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
新井 正徳 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60267127)
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研究分担者 |
瀧口 徹 日本医科大学, 医学部, 助教 (20787593)
秋元 敏雄 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30184112)
山田 真吏奈 日本体育大学, 保健医療学部, 准教授 (70508621)
金 史英 日本医科大学, 医学部, 助教 (90266859)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 腎虚血再灌流障害 / Egr-1 / TNF / ハプロ不全 / 急性腎障害急性腎障害 |
研究実績の概要 |
Egr-1は虚血再灌流により腎組織中に速やかに発現する転写因子の一つであり、炎症反応、アポトーシス、細胞増殖などに関与しているが、急性腎障害(AKI)の病態進展においてどのような役割を果たすかについてはこれまで明らかではなかった。我々のこれまでの研究では、Egr-1ノックアウトマウスや拮抗薬により、Egr-1の発現が完全に抑制されると腎虚血再灌流障害によるAKIは増悪するが、Egr-1ヘテロマウスにおいてはAKIが減弱する可能性が示唆された。このことから、Egr-1がハプロ不全の特性を持ち、ヘテロ接合型においてEgr-1の機能欠損が一部顕性となった場合、AKIの病態が改善される可能性が考えられた。(ハプロ不全とは、アレルの一方に機能欠損変異があり、正常な単一のアレルのみからの発現ではタンパク質の量が不足し、正常な機能を維持できないため機能欠損の表現型が現れることを示し、近年抗炎症作用などいくつかの作用が報告されている。) 2022年度の研究ではこれを確認するために、wild typeマウス、Egr-1ノックアウトマウス、Egr-1ヘテロマウス(雄:8-12週)の3群において、右腎を摘出後、左腎動静脈を30分間遮断し、その後24時間の再灌流を行う腎虚血再灌流モデルを用いて、採血と左腎の採取を行なった。年度内に2回の実験を行なったが、採血によるCre値の評価では、wild typeとEgr-1ノックアウトマウスに比較し、Egr-1ヘテロマウスのCreは低い傾向を認めたが、明らかな有意差を認めなかった。また、組織標本については現在解析中である。 Egr-1がハプロ不全の特性を持つ場合、Egr-1ヘテロマウスでは、wild typeやEgr-1ノックアウトマウスと比較し、Cre値や組織標本などでのAKIの改善が予測される。そのため、現在この結果について再現性を確認中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Egr-1がハプロ不全の特性を持つ場合、Egr-1ヘテロマウスでは、wild typeやEgr-1ノックアウトマウスと比較し、Cre値や組織標本でAKIの改善が予測されるため、現在この再現性を確認するための実験を行なっている。 2022年度の研究ではこれを確認するために、wild typeマウス、Egr-1ノックアウトマウス、Egr-1ヘテロマウス(雄:8-12週)の3群において、右腎を摘出後、左腎動静脈を30分間遮断し、その後24時間の再灌流を行う腎虚血再灌流モデルを用いて、採血と左腎の採取を行なった。年度内に2回の実験を行なったが、採血によるCre値の評価では、wild typeとEgr-1ノックアウトマウスに比較し、Egr-1ヘテロマウスのCreは低い傾向を認めたが、明らかな有意差を認めなかった。また、組織標本いついては現在解析中である。 Egr-1ノックアウトマウスは、現在胚操作による繁殖を行なっているが、飼育に約3-4ヶ月の時間を要するため、進捗状況としてはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
Egr-1ヘテロマウスと、wild typeやEgr-1ノックアウトマウスとの比較において、腎虚血再灌流によるCre値や組織標本でAKIの改善が確認されれば、腎組織中のTNF-α、IL-1β、HMGB-1、ICAM-1をELISAキットにより測定し評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Egr-1ノックアウトマウス生育には、現在胚操作による繁殖を行なっているが、約3ヶ月の期間を要し、実験回数が予定よりも少なかったためである。また、摘出した腎の組織所見の解析がまだ行えていないために次年度使用額が生じてしまった。
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