研究課題/領域番号 |
22K09162
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
青景 聡之 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (30822358)
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研究分担者 |
大澤 郁朗 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (30343586)
中尾 篤典 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40648169)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 水素ガス / 全身性炎症 / リポ多糖 / TLR3アゴニスト |
研究実績の概要 |
21~23ヶ月齢の雄マウスに、リポ多糖(LPS)を腹腔内注射して炎症を起こした。マウスを8つの群に分け、水素ガスの吸入時間と濃度を変化させ、その影響を調べた(①無処置、②水素ガス吸入なしの生理食塩水投与、③24時間2 %水素ガス吸入+生理食塩水投与、④水素ガス吸入なしのLPS投与、⑤2%水素ガス吸入24時間+LPS投与、⑥2%水素ガス吸入1時間+LPS、⑦2%水素ガス吸入6時間+LPS投与、⑧1%水素ガス吸入24時間+LPS投与)。評価項目は、生存率、活動レベル、炎症バイオマーカー、臓器傷害とした。 結果は2 %濃度の水素ガスを24時間長時間投与すると、肺および肝臓組織における炎症性バイオマーカーのmRNA発現が減少し、肺損傷が緩和され、老化関連タンパク質p21の発現が減少することで、老化マウスの予後が良好になった。さらに、水素ガス吸入は、C-X-Cモチーフ・ケモカイン2、メタロプロテアーゼ-3、アルギナーゼ-1を含む肺組織の老化関連マーカーを選択的に改善した。注目すべきことに、水素ガスは、試験した条件下ではLPS誘発肝障害を軽減しなかった。 本研究より、2%濃度の水素ガスを24時間連続吸入することで、肺の炎症を緩和し、老化に関連するバイオマーカーの発現を抑制した。水素ガス吸入は高齢者敗血症における生存率と身体活動を改善するための治療となりうることが期待される。 本研究結果は、Exp Gerontol 2023:180:112270にて論文報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに論文報告まで進んでおり進捗に問題はない。現在PolyIC全身性炎症モデルの作成をすすめているが、モデル作成に難渋している。
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今後の研究の推進方策 |
Poly ICを使用した全身性炎症モデル作成を行い、水素ガス吸入の効果を評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存の試薬を使用し、当初予定よりも少数のマウスで評価できたことから消耗品購入費を抑制でき、次年度使用が生じた。その分を令和6年度に上乗せさせする形で、実験用消耗品の購入や成果発表に係る費用に充てる予定である。
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