研究実績の概要 |
これまでの先行研究でC57BL/6マウスのSham、敗血症モデル(18 G, 25 G針による盲腸結紮穿孔モデル:CLP18,25)、広範囲熱傷モデル(30%, 10%のⅢ度熱傷モデル:Burn30,10)において、受傷24時間後の白血球のRNAシーケンスを施行した。今年度はバイオインフォマティクス解析をStrand NGS(Strand Life Sciences Pvt. Ltd., Bangalore, India)を用いて解析をい、NGS後の統計解析で157のmRNAで5群間に有意差を認めた(ANOVA p<0.05)。そしてGO解析、Pathway解析で抽出した6つの遺伝子群(Ngp, Clec4e, Camp, S100a9, Cd14、Hspa1b)に対してqPCRを施行し、CLPでNgp, Clec4e, Camp, S100a9, Cd14(p<0.05)、BurnでHspa1bが著明な上昇を示した(p<0.05)。これらの遺伝子群の発現に対する判別分析では重症度と無関係に各病態を100%判別可能で、トランスクリプトーム解析で抽出した遺伝子発現パターンによる新たな病態判別法の可能性が示唆された(第50回日本救急医学会総会で発表)。さらに、sham、Burn、CLPの病態ごとに3群での解析も進め、重症度と無関係に病態間のみで比較すると1170のmRNAで3群間に有意差を認めた(ANOVA p<0.05)。shamと比較してCLPでは875、Burnでは152のmRNAが2倍以上に発現していることがわかった。また、shamと比較してCLPでは764、Burnでは41のmRNAの発現が1/2以下に低下していた。またBurn と比較してCLPでは900の遺伝子が2倍以上、820の遺伝子が1/2以下に低下していた。今後は病態判別にさらに有用な遺伝子を探索して、新たな病態判別法の開発を進める予定である。
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