研究課題/領域番号 |
22K09173
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
蒲原 英伸 東京医科大学, 医学部, 教授 (90398222)
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研究分担者 |
須田 慎吾 東京医科大学, 医学部, 助教 (30421093)
小野 聡 東京医科大学, 医学部, 兼任教授 (30531355)
池田 寿昭 東京医科大学, 医学部, 教授 (90246182)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ARDS / Collagen / Fibrosis / COVID-19 |
研究実績の概要 |
COVID-19は特異な間質性肺炎像から重症化すると急激に酸素化が低下しARDSを発症する。ARDSは細菌やウイルス感染症、外傷、胃酸誤嚥、薬物 など種々な要因で発症するが、病態の共通点は肺局所でのサイトカインストームによる急性炎症である。一方COVID-19および従来型の慢性期AR DSの問題として、治療に難渋する線維化をよく経験する。本研究ではCOVID-19と従来型ARDSを比較し線維化発症のメカニズムを解明し新たな診 断治療法を開発する事を目的とする。イタリアのGrasselliらの報告によると、COVID-19由来のARDSと非COVID-19の従来のARDSの臨床特性を比較する前向き観察研究を行い、肺静機 能コンプライアンスと酸素化などの評価を行い多くの点で類似性が指摘された。よって、従来型のARDSの臨床・基礎研究(肺線維化への分岐点のメカニズムの解明、コラーゲンを標的とした線維化制御の解明)を進めその知見を、COVID-19の臨床診断・治療への応用の可能性を追求する。ただCOVID-19由来のARDSは特異な凝固異常をきたす傾向があり、Grasselliらの研究においてもD-dimer高値で、低コンプ ライアンス群において28日生存率が低下していた。可及的に臨床研究においてはCOVID-19の臨床データを統計解析していき、COVID-19由来・非由来ARDSにおける線維化発症のメカニズムの相違点を解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ARDS症例を集積し診療録を用いて、診療録のデータ入力とその統計解析にて関連因子同定を行なっている。線維芽細胞株を用いて炎症(Bleomycinなど使用)を惹起させ、ARDSの線維化のIn-vitro modelとしてset up中である。また、コラーゲン受容体のDDR1の制御に関連する試薬(RNAi, 中和抗体など)をset up中である。Bleomycin ARDSモデルマウスの作成も準備段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
Fibroblast由来の細胞株を用いて、線維化へ移行のトリーガーに起因する状況をサイトカインやコラーゲンなどにより可及的に微小環 境を再現(もしくはBleomycin ARDSモデルマウスを活用)しCOVID-19由来のARDS線維化メカニズムの解明を試みる。TGF-betaの刺激 や阻害によるFibroblastの細胞株の分化・細胞死への影響検証を行う。またBleomycin ARDSモデルマウスによるサイトカインやコラーゲンの影響の検討を行う。たBleomycin ARDSモデルマウスによるサイトカインやコラーゲンの影 響の検討を行う。COVID-19と従来型ARDSによる線維化発症に関連する因子を明らかにするために、後方視的に診療記録の統計解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVI-19のパンデミックの影響もあり、臨床の業務量の増加により、研究に費やす時間が減少したため、次年度使用が生じた。今後、COVID-19および非COVID-19によるARDSの相違点を明らかにするために、後方視的に診療記録の統計解析を行う。また、ARDSから線維化の機序の解明のために、チロシンキナーゼ型コラーゲンの受容体DDR1(Discoidin Domain Receptor-1)の阻害薬やRNAiなどを用いて肺胞上皮細胞株により検証を行うため、次年度に解析費用として使用する。
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