研究課題/領域番号 |
22K09179
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
土井 智章 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (00444307)
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研究分担者 |
岡田 英志 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (30402176)
富田 弘之 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50509510)
鈴木 昭夫 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (80775148)
手塚 宜行 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任教授 (90868209)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ヒアルロン酸 / 血管内皮 |
研究実績の概要 |
血管内皮グリコカリックスは血管内皮細胞の内腔面を覆っている構造物で血管の恒常性維持に重要な役割を果たしている。血管内皮グリコカリックスの構造は血管内皮細胞に結合するプロテオグリカンに陰性電荷を帯びたグリコサミノグリカンが結合し, ヒアルロン酸がそれらの構造物をつないで血管内皮表面を覆うような形で存在している。ヒアルロン酸は、血管内皮グリコカリックスが障害されると血中へ放出されることからグリコカリックスの障害マーカーとして使用されている。本研究では血管内皮特異的にヒアルロン酸をノックアウトしたマウスを用いて、血管内皮上のヒアルロン酸の臓器による局在の相違や炎症病態下での機能を明らかにする。 Has2 flox/floxマウスにVascular Cadherin Specific CRE 強発現マウスを掛け合わせた血管内皮特異的HAS2ノックアウトマウスを作成した。本マウスは胎生致死にならずに誕生し6週齢頃までは特に肉眼的には大きな変化は認められていなかったが、それ以上に成長してくると皮膚のツルゴールが低下し、解析開始を予定していた10週齢では皮膚病変が出現する。そのため成獣になってからタモキシフェン投与によりノックアウトできるマウスを作成するためにVascularCadherin Specific CRE(ERT2)とHas2 flox/floxマウスを掛け合わせて作成した。マウスは問題なく発育し、10週齢となった時にタモキシフェンを0.5mg/gのdoseで隔日で5回腹腔内投与を行ない、3週間後に解析を行った(KOマウス)。コントロールとしてタモキシフェンの代わりにコーンオイルを投与したマウスを使用した(Cont)。KOマウスではContに比べて腸管組織において浮腫が著明であり、腸管における微小循環障害が生じていることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
KOマウスが作成できたが解析はこれからである。
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今後の研究の推進方策 |
ノックアウトマウス作成が別記載のように困難を極めたため、数多くの実験を行うことは難しい状況下ではあるが、次年度はこのNOマウスの敗血症モデルを用いて、各臓器(腎臓、肺、心臓を検討している)の血管内皮障害の程度を電子顕微鏡を用いて、解析を進めて行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
KOマウスの作成に時間を要し、実験が予定通りには進んでおらず、次年度に実験の主な行程がずれ込んだために次年度使用額が生じている。 次年度は、KOマウスを用いて、敗血症モデルを作り、敗血症によって血管内皮障害がどの程度コントロールマウスと異なるのか、比較検討を行っていく予定である。
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