研究課題/領域番号 |
22K09181
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大野 雄康 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (00745333)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 重症熱傷 / サイトカインストーム / 骨格筋萎縮 / Interleukin-6 / JAK/STAT3 pathway |
研究実績の概要 |
熱傷では、過大な生体侵襲によりIL-6等の炎症性サイトカインが放出され、骨格筋萎縮が発症する。熱傷誘導性骨格筋萎縮は、生命および機能予後の両方を悪化させる重大な問題である。しかし、現在に至るまで、この有効な薬物治療は知られていない。我々はIL-6/STAT3経路を薬理学的に制御することで、熱傷誘導性骨格筋萎縮が治療できるのではないかと仮説をたてた。 この仮説を検証するために、本年度はC2C12筋管細胞を使った in vitro実験を行った。昨年度報告したshamマウス、および熱傷モデルマウス (背部20%の2度熱傷、および3度熱傷を全身麻酔後60℃および90℃の恒温槽にそれぞれ9秒浸し作成)から熱傷導入1日後に血漿を分離した。3度熱傷モデルマウス/2度熱傷モデルマウス/Shamモデルマウスから、処置1日後に血漿を分離した。マウスC2C12 cellを熱傷/shamマウス分離血漿(5%)で2日間培養した。in vivoでの観察結果に一致して、熱傷マウス血漿によりC2C12 cellのSTAT3経路 (P-STAT3/STAT3比の上昇)およびユビキチンプロテアソーム(UPS)経路 (MuRF1、Atrogin-1発現上昇)が活性化した。2度熱傷モデルマウス血漿よりも3度熱傷モデルマウスのほうが増加の幅が大きく、侵襲度依存性が示された。さらにshamモデルマウス血漿/3度熱傷モデルマウス血漿/およびSTAT3阻害剤C188-9 (10μM)/vehicle 存在下で2日間培養した。C188-9投与によりSTAT3経路およびUPS経路の活性上昇が抑制され、筋管細胞萎縮が改善した。本年度の研究成果により、熱傷による液性因子が骨格筋萎縮におよぼす影響が、in vitroの系で示された。C188-9はin vitroでも筋管細胞萎縮を改善させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のようにC2C12筋管細胞を用いた研究で、ポジティブなデータも出ており、おおむね順調に進行したと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
すでに一部取り組んでいるが、本年度は得られたデータをもとに論文を作成し国際誌に投稿予定である。 さらにモデルを敗血症に変更し、熱傷で真であった観察結果が、敗血症のような感染侵襲でも真であるか確かめる予定である。
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