研究課題/領域番号 |
22K09189
|
研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
小野川 傑 埼玉医科大学, 保健医療学部, 教授 (90224287)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 敗血症 / 臓器障害 / 低体温 / 酵素阻害剤 |
研究実績の概要 |
これまで行ってきた盲腸結紮穿孔(CLP)による敗血症モデルマウスを用いた研究において、術後数時間より血中可溶性IL6レセプター(IL6R)が減少することが明らかにしてきた。しかし、その減少の原因は不明であった。 そこで本研究において、CLPをきっかけとする急激な侵襲がレセプター脱落を加速させた結果、その後の供給が追い付かないという仮説をたて、まずは細胞からレセプター脱落に関わる酵素を阻止することで臓器障害の程度にどのような影響を及ぼすかを検討することとした。そこで、CLP実施後のマウスへ酵素阻害剤を腹腔内投与し、その後の変化、特に肺組織の変化を検討した。 今年度はMMP & ADAM阻害剤であるTAPI-2を、術後3時間目のCLPマウス腹腔へ投与した。その結果、術後のマウスの体温は術後6時間以降24時間にかけて対照(酵素非投与)群より回復した。体温回復にIL6 signalingが関与することをこれまでに明らかにしてきたことから、今回のTAPI-2投与がIL6R量に影響を与えた可能性を考慮し、血中IL6R量を測定したところ、対照群の1.8倍増であった。そこで肺lysate中のIL6R量を求めたところ、こちらはむしろTAPI-2投与が対照群より低値を示した。臓器障害の指標としてのLDやSP-DもTAPI-2投与で低値を示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験に使用予定であった試薬の納品が遅れている。試薬によっては数ヶ月待ちの状態である。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は使用予定の酵素阻害剤のうち、TAPI-2をCLPマウスへ投与してその効果を検討した。CLPマウスへの投与は体温の復温や、臓器障害の指標とするLDやSP-Dが投与しない対照群と比較して低値を示したことから、有益な効果が期待できると推測される。 今後は機序の異なる複数の酵素阻害剤を用いることで、阻害効果の違いからどのような機序で有益な効果が期待できるかを検討していきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた複数の試薬の納品が年度内に間に合わなかったことによる。 現在、昨年度に納品が間に合わなかった試薬等についてはそのまま発注を継続しており、次年度使用額についてはこれら試薬等が納品され次第、購入費用として充当する予定である。
|