研究実績の概要 |
2022年度の研究により、熱中症においては暑熱による脱水、エネルギー需要の増大以外にも、thromboinflammationと称される血管内炎症が重要な役割を果たしていることが明らかになった。このthromboinflammationには血管内で炎症と凝固同時に活性化さて、両者の相互作用で増強される現象で、白血球から放出されるextracellular traps, damage-associated molecular patternsや単球や血小板、内皮細胞における凝固活性化物質の発現と、microvesicleの放出などの役割が大きい(Iba T, Helms J, Levi M, Levy JH. Inflammation, coagulation, and cellular injury in heat-induced shock. Inflamm Res. 2023 Mar;72(3):463-473.)。このため、熱中症におけるバイオマーカーとしては、炎症および凝固を反映する因子が有望であり、interleukin-6およびD-dimerの測定、評価を中心に解析を行った。その結果、interleukin-6は熱中症症例での増加が確認され、診断に有用である可能性が示唆された。一方、D-dimerに関しては感度が高く、非熱中症症例での陽性例が相当程度あり、熱中症症例との間で差はみられなかった。
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