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2022 年度 実施状況報告書

ヤマカガシ咬傷における根治的治療薬であるヤマカガシ抗毒素に対する代替治療薬の検討

研究課題

研究課題/領域番号 22K09193
研究機関聖路加国際大学

研究代表者

一二三 亨  聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 医長 (30383756)

研究分担者 伊藤 隆史  熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (20381171)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードヤマカガシ毒素 / ヘパリン / アンチトロンビン / トラネキサム酸
研究実績の概要

ヤマカガシ咬傷に対するヤマカガシ抗毒素に対する代替薬治療の研究として、まず下記の実験を施行した。
ヤマカガシ毒素に対するin vitroでの凝固抑制効果の確認としてヒト標準血漿(0.1mL)にヤマカガシ毒素(0.1mL)及びカルシウムを添加すると、添加毒素の濃度依存的に凝固時間が短縮される。この実験系に播種性血管内凝固症候群の治療薬として保険承認されているヘパリン、トラネキサム酸(TXA)、アンチトロンビン(AT)をそれぞれ加えて、その凝固抑制効果を確認した。凝固時間は、半自動血液凝固測定装置CA-101/CA-104を使用した。
その結果、TXA添加によりヤマカガシ毒素による血漿凝固時間は0.03,0.3mgの追加では影響がないが、3mgの添加で短縮された。TXAの効果は凝固作用を亢進させることとなった。
ヘパリンの添加によってヤマカガシ毒のヒト血漿凝固活性の抑制が、10ug以下のヤマカガシ毒素濃度については認められた。しかし、ヤマカガシ毒素濃度が20ug/0.1mL以上に高いとヘパリン添加による凝固抑制は認められなかった。
5U/0.1mLの濃度のATの添加によってヤマカガシ毒素のヒト血漿凝固活性の抑制が、すべてのヤマカガシ毒素濃度について認められた。
結果のまとめ:ヘパリン及びATは高濃度で凝固活性を抑制した。トラネキサム酸は凝固活性を抑制しなかった(亢進した)。今後今回の研究成果をもとに、リコンビナントトロンボモジュリン(TM)を加えた4つの系、TM、TM+TXA、TM+AT、TM+AT+TXAで効果を検証する予定である。ヘパリンはすでに線溶亢進した臨床状態では投与できないため、検討対象としない方針とした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヤマカガシ毒素に対するin vitroでの凝固抑制効果の確認としてヒト標準血漿(0.1mL)にヤマカガシ毒素(0.1mL)及びカルシウムを添加すると、添加毒素の濃度依存的に凝固時間が短縮される。この実験系に播種性血管内凝固症候群の治療薬として保険承認されているヘパリン、トラネキサム酸、アンチトロンビンをそれぞれ加えて、その凝固抑制効果を確認した。今後今回の研究成果をもとに、in vivoでの実験系を予定している。

今後の研究の推進方策

ヤマカガシ毒素に対するin vivoでの治療効果の確認
ヤマカガシ咬傷ラットモデルを用いて、代替治療薬候補の投与実験を行う。投与後、経時的に採血して血中の凝固マーカー及び線溶マーカーを測定し、抗凝固作用及び抗線溶作用を確認する。各投与量はヒト臨床に直結したものを想定し、投与時間は現状の投与開始までに要する時間を考慮し設定する。一定の効果が認められた場合には、投与量及び投与開始時間等、ヒトへの臨床応用に向けた詳細な検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

当初の研究計画調書では、令和4年度内にin vivoでのヤマカガシ毒に対する治療効果の確認の予備実験としてラットを用いて代替治療薬の投与量や投与開始時間の検討を行う予定であった。しかしながら、限られた予算内での代替薬の変更などの調整もあり、in vitroの試験結果を得るまでに時間を要した。そのため、ラットを用いた動物実験が行えず、該当の未使用額が発生した。
令和5年度は、in vivoでの実験を本格的に開始する予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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