研究課題/領域番号 |
22K09195
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山口 順子 日本大学, 医学部, 准教授 (50570511)
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研究分担者 |
木下 浩作 日本大学, 医学部, 教授 (90260968)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 重症敗血症 / ポータブル自動瞳孔計 / 自律神経反応 / 分時換気量 / バイタルサイン / HRV / 予後予測 |
研究実績の概要 |
研究計画書にある3つの予後予測因子として測定を予定した(IL-6,HMGB1,NST)の測定について、自施設における測定が困難になった。対象症例のエントリーができない間、他病態におけるバイタルサイン測定と自動瞳孔計の関係性や小児の脳症病態における瞳孔反応を介した自律神経応答について検討することで今後の研究計画の検討を行った。有熱性の痙攣重積症症例7症例についてポータブル自動瞳孔計を用い、瞳孔反応を確認した。急性脳症2例では、縮瞳率と平均縮瞳速度が低値を示し、熱性痙攣重積症症例7例でほとんど異常値は示さなかった。頭蓋内圧上昇とNPiや縮瞳率及び平均縮瞳速度の低下の関係が報告されているが、本検討では急性脳症2例でNPiスコアの変化は認めず、縮瞳率及び平均縮瞳速度のみが減少した。NPiスコアは頭蓋内圧上昇による低下が報告されているが、本結果より我々が捉えた事象は頭蓋内圧上昇ではなくバイタルサインや、分時換気量及びHRV変動で示される自律神経応答の異なりが関与している可能性が示された。 また自動瞳孔計による急性脳症と熱性痙攣重積症の鑑別についてポータブル自動瞳孔計が有用である可能性が示された。既報では、多くのICUで用いられる薬剤は瞳孔測定に影響を与えないとされているが、ベンゾジアゼピン系薬剤の投与やミダゾラムとフェンタニルの持続静注を行なっている最中においても瞳孔反応は鋭敏に変化しており、今回我々が捉えた事象に薬剤の影響はなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者及び分担者は、令和4年度について、コロナ診療従事へのシフトで、初回入室時にコロナウイルス感染症を除き、重症敗血症例のエントリーを行うことができなかった。また、令和5年1月に、勤務医療機関の電子カルテのリニュアルに伴い、セントラルモニターと、HRV測定PCの設定を改めて導入することが必要であった。また、研究計画書にある3つの転帰予測因子として測定を予定している(IL-6,HMGB1,NST)の測定について、自施設における測定は困難となり、令和5年度より、外注でこれを行う準備を行った。 自律神経応答を示す分時換気量とバイタルサインと自動瞳孔測定の変動について感染増悪によるCO2ナルコーシス症例及び、薬物中毒症例の検討を行った。前者について論文投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年3月末を以て、コロナ診療従事シフトは終了した。前述の通りHRV測定PCとセントラルモニターの接続が完了し、外注における測定項目(IL-6,HMGB1,NST)の測定可能となった。今後はICUにおける重症敗血症患者の自律神経応答測定が可能となる。 コロナ禍前の当施設ICUにおける敗血症症例は約120例であり、同意取得率を50%とした際に、採血測定項目は、外注となったため、測定労務は軽減した。 令和5年度に重症敗血症目標症例の組み込みが可能と判断しており、適宜解析を並行しながら、本研究の目的である重症敗血症の自動瞳孔計による瞳孔反応と自律神経応答を反映するとされるバイタルサインや分時換気量及びHRV測定結果との関係性について検討する予定である。目標症例数に到達しない際には、最終年度である令和6年度に組み込みを継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画書にある3つの転帰予測因子として測定を予定している(IL-6,HMGB1,NST)の測定について、自施設で試薬購入の上での測定が困難となり、試薬を購入せず、次年度外注による項目測定を行うこととになったため。
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