研究実績の概要 |
パーキンソン病の歩行障害に対して中脳脚橋被蓋核Pedunculopontine Nucleus (PPN)へのDBSが適応とされてきた。本研究はその微小電気刺激がどのように橋延髄を介して脊髄レベルでの姿勢制御に関与するかを明らかにすべく、動物モデルを用いて脳幹脊髄下行路のニューロン(網様体脊髄路Reticulospinal tract(RST)及び前提脊髄路Vestibulospinal tract(VST)の活動を電気生理学に調べた。 除脳ネコのPPNを微小電極で刺激し、脳幹網様体核(Gigantocellular nucleus)および外側前庭神経核(Lateral Vestibular Nucleus)におけるニューロンの活動様式と、刺激に対する反応性、そして腰髄前根および後根電位の変化を記録してきた。RSTとVSTニューロンについては細胞外電位を計測し, PPN微小電気刺激時の応答潜時と自発発射頻度の変化を調べた. その結果、PPN微小電気刺激は前根および後根に特徴的な電位をしめし, 脳幹網様体を介した刺激を含んでいた事がわかった。根電位については引き続き解析中である。細胞外電位について、RSTおよびVSTニューロンは全体の49%と27%にシナプス応答を起こし, 興奮性に自発発射頻度を増加させた。これらの知見からPPNはRST, VST両方を介して脊髄レベルでの運動ニューロンおよび介在ニューロンの活動を修飾し, 筋緊張の制御により姿勢を制御していると考えられる。
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