研究課題/領域番号 |
22K09203
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
中山 則之 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (30444277)
|
研究分担者 |
富田 弘之 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50509510)
岡田 英志 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (30402176)
木下 喬公 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (40866977) [辞退]
庄田 健二 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (00866981)
岩間 亨 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20303498)
熊谷 昌紀 岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (50973369)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 血管内皮グリコカリックス / 悪性脳腫瘍 / 脳転移 / 新規治療 / glioblastoma |
研究実績の概要 |
前年度はヘパラン硫酸に着目した研究を行っており、血管内皮細胞のへパラン硫酸減少が血管新生を抑制することでglioblastomaの予後改善に関連を持つことを確認していた(Discov Oncol. 2021)。 しかしながら、本年度に頸動脈より腫瘍細胞(B16)を移植し脳転移を確認するモデルを作成し検討を行ったところ、血管内皮のへパラン硫酸を減少させても転移の抑制には繋がらないことが示唆された。また、本年度に共同研究者が行っていた実験でfibroblastのへパラン硫酸減少が大腸癌の予後悪化に関連することも分かった(PLoS One. 2023)。 これらの結果から、へパラン硫酸の減少が必ずしも長期的な生命予後の改善に繋がるとは言えず、やはり血管内皮グリコカリックスの保護が最も肝要であると考えられた。 そのため、現在は血管保護作用の期待される薬剤を注射し、血管内皮グリコカリックスの分解を阻害する方向で予後の改善を認めないか検討中である。具体的にはナファモスタットを用いて実験を行っており、まずはvitroでナファモスタットがglioblastomaの増殖に影響を与えないことを確認した。今後GL261 modelを用いてvivoで予後に与える影響の確認を行うことを検討している。また、同時に抗腫瘍薬を用いた際に血管内皮グリコカリックスが傷つく可能性もあるため、抗腫瘍薬を投与するモデルでも同様に実験を行うことを検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
へパラン硫酸モデルに関しては検討をある程度終えたと考えるが、他の遺伝子改変マウスの作成、交配に時間がかかっており、へパラン硫酸以外のモデルでの検討が思ったように進行していない。また、新型コロナウイルスの影響で一部薬剤や実験器具の搬入が大幅に遅れていることも研究の進捗に影響を与えている。グリコカリックスは様々な糖鎖の集合体であり、他の糖鎖が与える影響も検討する必要があるため、その点において研究はやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
まずは現在行っているナファモスタットによる血管保護がグリオーマの予後に影響を与えるのかの検討を行う。また、抗腫瘍薬追加投与モデルに関しても同様に検討し、その際にはトロンビンなどの血管障害を来す因子の変化に関してもvitroで検討を行い血管障害の程度が本当に改善しているかを把握する。検討により予後に影響を与える可能性のある因子が新たに見つかった場合には、その因子に関しても詳細に検討を行う。 他のマウスモデルに関しては必要数の確保が出来次第、実験の開始を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じているが、ほぼ予定通りであったと考えている。次年度も予定どおりに必要な消耗品及び学会・論文発表費用に使用する。
|